フォードの自動車工を50年勤めあげたポーランド系米国人コワルスキーは、妻を亡くし、愛車グラン・トリノのみを誇りに、日本車が台頭し、東洋人の町となったデトロイトで隠居暮らしを続けていた。
頑固さゆえに息子たちにも嫌われ、限られた友人と悪態をつき合うだけであり、亡き妻の頼った神父をも近づけようとしない。
コワルスキーを意固地にしたのは朝鮮戦争での己の罪の記憶であった。
その彼の家に、ギャングにそそのかされた隣家のモン族の少年タオが愛車を狙って忍び込むが、コワルスキーの構えた銃の前に逃げ去る。その後、なりゆきで、タオや姉スーを不良達から救ったコワルスキーだったが、それがきっかけで、タオに仕事を世話して一人前の男にさせることを頼まれる。
以下ネタバレあり
あらすじ
主人公のウォルト・コワルスキーは、ポーランド系アメリカ人のおじいさん。
冒頭では、差別用語連発なのだが、単に口が悪いだけの偏屈オヤジだとわかってくる。
ウォルトの人となりがわかってなければ、疎遠にする人がほとんどだろう。
実の息子2人も、口の悪い父親が苦手の様子。
馴染みの床屋(イタリア系アメリカ人、ウォルトからはイタ公と呼ばれている)とは、信頼の上での毒舌会話を楽しんでいた。
近所にアジア人の移民(モン族)が住み始め、朝鮮戦争で苦い経験をしてきたウォルトは、遠巻きに見るだけだったが、ある日、隣に住むモン族の青年タオが、ウォルトの家の庭先でモン族系ギャングらにからまれているのを見て、ギャングたちにライフルを向け追い払ったことから、付き合いが始まることになる。
モン族は義理堅い民族で、毎日のようにタオを救ったウォルトにお礼の品を届け、パーティーにも招待し、ウォルトも次第に彼らを受け入れていく。
その後、スーも黒人にからまれたところをウォルトに助けられたこともあり、ウォルトを信頼し、弟のタオに家のことを手伝わせてほしいと言ってくる。
ウォルトは、気になっていた向かいの家の修理や、庭の手入れ等、タオをご近所のために働かせることに。
真面目に取り組むタオを見て、ウォルトはタオを一人前の男にするため仕事につかせる。
ところが、タオをメンバーにしようとしていたギャングたちは、自分達をライフルで脅したオヤジを味方につけ、まっとうな仕事を始めたタオが気に入らず、タオを暴行し、自宅に銃を乱射、その後レイプしたスーを家の前に置いていった。
同じころ、喀血したウォルトは病院へ行き、重い診断結果が出ていた。
(お酒にたばこが好物のウォルト、肺がんだろうか?)
余命わずかのウォルトは、タオを地下室に閉じ込め、1人ギャングのアジトへ向かう。
ロケ地まとめ
主人公ウォルトの家 右隣がタオの家
ヤノヴィッチ神父の教会
ウォルトがタオに工具を購入する店
ラスト(ねたばれ)
ウォルトは、タオを巻き込まないため、彼を自分の家の地下室に閉じ込め、1人ギャングのアジトへ向かう。
家の外からギャングに呼びかけるウォルト。周りの住人らはこわごわ様子をうかがっていた。
ウォルトはタバコをくわえ、銃を取り出すかのように上着のポケットに入れた手を出した瞬間、ギャングらは一斉にウォルトを銃撃し、射殺。
実は、ウォルトは丸腰で、ポケットから第一騎兵師団のジッポを取り出しただけだった。
自分の命をかけ、ギャング全員を檻の中にぶち込み、タオらの未来を救ったウォルト。(近隣住人の目撃情報、丸腰の老人を射殺したことから、彼らは長期刑になるようだ。)
遺言状には、自宅を教会に寄付し、グラン・トリノはタオに譲ると書かれていた。
ガッカリする息子家族。
ウォルトは、ギャングに殺されることを覚悟し、最後に馴染みの床屋で初めて髭をそり、チップをはずみ教会で懺悔、お葬式用のスーツを作り、タオのために遺言状も作成していた。
あっぱれとこの世を去ったウォルト。
天国で、最愛の奥さんと幸せに暮らしているでしょう。
カッコ良すぎる。
あまりにカッコ良すぎるイーストウッド!
愛犬デイジー
トリビア情報
主人公の愛犬は、実際にクリント・イーストウッドが飼っているワンちゃんです。