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誰もがそれを知っている Todos lo saben (2018)

誰もがそれを知っている (字幕版) 

アルゼンチンで暮らすラウラは、妹のアナの結婚式のために、娘のイレーネと

息子のディエゴを連れ、故郷のスペインの村に帰ってくる。

年老いた父、姉夫婦、幼なじみのパコとの再会に喜び、幸せいっぱいのパーティー

となるが、会場は突然の停電に。その後、イレーネを誘拐したというメールが

ラウラのもとにとどく。

 

 

以下ネタバレあり

 

 

パコ役のハビエル・バルデムとラウラ役のペネロペ・クルス

言わずと知れたおしどり夫婦。

その二人が元恋人同士という設定で出演した作品と知り、観始める。

 

あらすじや予告など確認せずに観はじめたので、タイトルを不思議に思いながらも

妹の結婚式で帰省する主人公らの様子に、幸せな家族ものだと思っていたら、

いきなり誘拐事件発生!

その後、冒頭からひっかかっていた、家族以外の村人たちのいわくありげな

視線や表情(陰口しているような様子)の意味が、徐々に明らかになっていく。

 

仕事で結婚式に参列できないというラウラの夫は、2年前から失業していること。

ラウラの父は、村の大地主だったが、博打で失敗し、大半の土地を手放したこと。

村の大地主だった過去を引きずり、村人を見下し、村人から嫌われていること。

パコとラウラは元恋人だったこと。

結婚後、ラウラがお金に困り、村の土地をパコの言い値で売ったこと。

パコは、ラウラの土地でワイナリー経営を始め、財を成していること。

ラウラの家族は、パコがラウラから土地を奪い、現在潤っていることを

良く思っていないこと。

お祝いの席の手前、幸せを演じていた家族の本音が徐々に明らかになっていく。

 

誘拐犯から身代金を要求するメールが届くが、ラウラの家族ではそんな大金を

準備出来ない。

追い詰められたラウラは、パコにある決定的な切り札を出してしまう…。

 

しかし、封印していた家族の過去や、ラウラの切り札等は

タイトル通り“(村人ならば)誰もが知っている”事実で、

"知らぬは当人ばかりなり"。

小さな村では、秘密もすぐに誰かに気づかれ、すぐに噂が拡散されていく。

今回の事件も、そういう状況が少なからず影響しているようだ。

 

実際、誘拐犯の1人は、母親にすぐ疑われていた。

泥だらけの靴を見ただけで、母親は村のどこに行っていたか、

そこで何をしていたのか、を気付いてしまったようだ。

母親は、あえて子供を責めたりせず、見て見ぬふりをしていた。

 

ラストで、ラウラの家族はアルゼンチンへ帰っていく。

誘拐事件は、警察に届けられず内々で解決したため、家族以外は誰も知らない

だろうと、今回も家族内では封印されるのだろうが、

誘拐犯の母が気づいたように、きっと村では、ラウラの父の様子や

パコがワイナリーの土地を売ろうと動いていたことから、

身代金誘拐に関して、じわじわと噂として広がっていきそうだと予想させてくれる。

 

 

【映画ロケーション】

 

 スペインのトレラグーナでの撮影 (マヨール広場)

 

 ラウラ実家