名門イェール大学に通うバンスは、奨学金をもらいながら、弁護士を目指していた。
インターンの面接の前日、母ベブが薬物の過剰摂取で入院したと連絡が入り、
時間が無い中、故郷へ戻る。
保険が失効した母は、病院には3時までしかいられない。
母の受け入れ先を探すが、見つからないまま、時間が過ぎていく。
バンスは、母の代わりに育ててくれた祖母マモーウとの日々を思い出しながら
母との関係を見つめ直していく。
以下ネタバレあり
原作は、JD・バンス
『ヒルビリー・エレジー:アメリカの繁栄から取り残された人々』。
映画と少し違い、原作のほうは、ラストベルト(錆びた地帯)に暮らす
人々の貧困スパイラルから抜け出られない状況が詳しく描かれている。
TEDに登壇したJD・バンス。
ラストベルト等の白人貧困層の地域で育つ子供達は、アルコール依存症や
薬物依存症の大人を目にすることが多いため、トラウマ体験しやすいと
語っている。映画にも出てきた、祖母が祖父に火をつけた話もしていた。
【映画 ロケーション】
グレン・クローズ演じる Mamawの家(ハリソン・ストリート)
アジア人のKenの家 (imdbより)
貧困家庭で暮らす子供達が、依存症の親に苦労しながらも
努力し、成長していくという作品は、いくつかあるため
既視感があり、あまり新鮮ではなかった。
最近観た作品では、「ガラスの城の約束」が、同じように
主人公が親の援助を受けずに、進学して、活躍していくという内容だった。
ただ、大学進学を希望する貧困家庭の子供達が、
のちの学費の補助・免除目的で入隊をするという事を知ることが出来
とても勉強になった。
アメリカの私立大は6万ドル以上、公立では2万ドル以上学費が
掛かると言われている。
こちらの記事によると、入隊者の75%は教育面の恩恵が目的
と書かれていた。
士官学校(軍の大学)では、卒業後に5年間兵役につくという条件で
免除され、福利厚生も手厚く、在学中は給料ももらえると言う。
同級生が、家庭の事情から防衛大学を選んだことも思い出していた。
映画の最後で紹介された実際の家族たちの写真をみて驚かされた。
特に、グレン・クローズが演じた祖母が、そっくりだった。
特殊メイク+本人のメガネを借りて演じていたという。
JDの家族の中には、彼女の姿を見て泣き出した人もいたという。
アカデミー賞を意識して、書籍とは少し違った作りになったそうだが
アメリカでのネット上での評価は、5点満点の3点程度にとどまっている。
グレン・クローズのノミネートを期待します。