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黒い司法 0%からの奇跡 Just Mercy (2019)

黒い司法 0%からの奇跡(字幕版)

ブライアン・スティーブンソンは、ハーバード大ロースクールを卒業し、弁護士資格を取得。好待遇のオファーがあったにも拘わらず、アラバマ州での人権運動に携わることを決める。
受刑者の人権擁護活動をするエバアンスリーと共に、事務所を設立。
1988年、ウォルター・マクミリアンという黒人男性が、白人女性の殺害容疑で、死刑判決を受けるも証拠は無く、検察側が強引な手法でウォルターを犯人に仕立て上げていた。
ブライアンは、ウォルターの弁護を引き受けることを決めるが、ウォルター本人は、ブライアンにを信用せず、頑なな態度を取っていた。
その後、彼の熱意ある仕事ぶりを知り、次第に心を開くようになるが、再審への道のりは、苦難の連続だった…。

以下ネタバレあり

 

黒い司法――黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-9)

原作は、ブライアン・スティーヴンソンのノンフィクション作品、「黒い司法 死刑大国アメリカの冤罪」(2014)。
2014年、タイム誌「10 Best Books of Nonfiction」に選ばれ、ニューヨーク・タイムズ「100 Notable Books(100冊の注目すべき本)」にも選ばれる。
2015年、デイトン文学平和賞(ノンフィクション部門)授賞。

 

映画でも出てきた「60 Minutes」。
ティム・ブレイク・ネルソンが演じたラルフ・マイヤーズがそっくり。
ウォルター・マクミリアン氏は、認知症発症後、 2013年9月11日お亡くなりになられている。米ウィキペディアには、投獄のトラウマから発症したと書かれている。

 

【映画ロケーション】

 裁判所 : Rockdale County Management Info

 

 州最高裁判所

 

非営利団体 イコール・ジャスティス・イニシアチブ(EJI)
1989年、アラバマ州モンゴメリーで、人種差別等により不当に逮捕・収監された人々に法的支援をする非営利団体「イコール・ジャスティス・イニシアチブ(EJI)」を、友人のエバアンスリーと共に設立。

ブライアン・スティーブンソン
1959年11月14日、デラウェア州南部の小さな田舎町、デラウェア州ミルトンで生まれる。
人種差別が根強い町で育ち、小学校は有色人種専用の学校に入学する。
街の公共施設でも差別され、病院等も黒人は裏口からしか出入させてもらえなかったという。
奨学金を得てイースタン大学に入学、1981年に卒業。
その後、ハーバード大学法科大学院で弁護士資格を取得。
大学院時代に、アトランタにある南部人権センターで働いたことがきっかけで、卒業後、南部人権センターに入社。アラバマ州を担当することとなる。
その後、米国議会が死刑防衛のための資金提供がストップされ、
非営利団体イコール・ジャスティス・イニシアティブを設立することとなる。

 

ブライアン・スティーブンソンは、米南部で白人からのリンチにより殺害された黒人約4,000人の慰霊のための「平和と正義のための国立記念碑」設立を計画、モンゴメリーの旧公営住宅地の6エーカーを取得する。2018年に開館する。

 

同じ年、関連施設としてEJIは「レガシー博物館」もオープン。
奴隷制度の歴史、南部でのマイノリティへの扱い(人種隔離・リンチ・大量投獄等)に関する資料が展示されている。
2021年の今も、まだ“Black Lives Matter”というスローガンが使われていることから、アメリカの人種差別の根深さ・暗さが感じられてくる。

 

あの悪徳保安官(トーマス・テート)のその後が紹介されていなかったので、検索してみた。
ウォルター・マクミリアンの釈放後もまだ、保安官として働いていたようだが、マクミリアンから訴訟を起こされている。(当然!)
2013年に亡くなっているが、受刑者用の食事代の資金の残高をポケットマネーとして持ち帰っていたことが判明している。
3年間で11万ドルと書かれているが、トータルにするととんでもない額になりそう。
絵にかいたような悪徳保安官ぶりに呆れてしまった。

黒人に対する冤罪事件等は、他の作品でも描かれているが、改めて、こんな理不尽な人種差別があることを再確認するためにも観た方が良い作品だと思います。