1973年、アメリカ。
18歳のベス・ブレッドソーは、大学進学のため、故郷サウスカロライナ州を離れ
ニューヨークへ。
ベスが通う大学では、彼女の叔父であるフランクが教鞭をとっていた。
叔父のフランクは、他の家族と違って物静かで知的な人物で、ベスはそんな
叔父が好きだった。
ある日、ベスはフランクのアパートへ突然押しかけ、そこで叔父のある秘密を
知ってしまう。
以下ネタバレあり
監督は、アラン・ボール。
(「アメリカン・ビューティー」アカデミー賞脚本賞授賞)
この作品は、彼の父の話を参考に作られたと言われている。
監督が、母親にカミングアウトをした時に、亡くなった父もゲイだったと思うと
言われて、とても驚いたとインタビューで答えています。
その後、ある湖を通り過ぎた時に、監督の母は、サム・ラシターという男性が
溺死した場所だと説明し、その人が監督の父にとって“本当の友人”だったと
話したそう。
ウォーリーを演じたピーター・マクディッシは、監督の実際のパートナー。
フランクおじさんを演じるのは、実力派俳優、ポール・ベタニー。
彼の父親もゲイだったとインタビューで話している。
ポールの母と離婚後、ある男性と20年連れ添ったが、彼が亡くなった後、
カトリック信者だった父は「天国の門が開かないかもしれない…」と、
ゲイであることをまた隠してしまったという。
1970年代、アメリカの南部の田舎町では、マイノリティに対して
厳しい環境だったと思うが、フランクおじさんのパートナーのウォーリーは
サウジアラビア人という設定。
サウジアラビアでは、2021年の現在でも、同性愛者=死に直結している。
2021年現在でも、多数の国で厳しい罰則がある。
OUT JAPAN の「LGBTの海外安全情報」を観ると一目瞭然。
日本人の私が、この映画を観ると、フランクの亡くなった父親を最低だと
思えるけれど、世界にはあの父親に賛同する人々も少なからずいる現実が
恐ろしい。
フランクの妹の夫と、あのオバサンは、偏見があるようだが
その他の家族が皆フランク(+ウォーリー)を受け入れてくれて、ハッピーエンド!
万が一、悲劇だったら観ていられなかった。
【映画ロケーション】
ニューヨークのアパートメントの撮影で使われた建物
実際は、ノースカロライナ州ウィルミントンにあるCarolina Apartments