映画とドラマとロケ地

映画や海外ドラマの撮影地の紹介+レビュー

ルース・エドガー LUCE (2019)

ルース・エドガー [Blu-ray]

エドガー夫妻は、紛争が続くエリトリアから7歳の子供を養子にする。

10年後の現在、ルースと名付けられた子供は、バージニア州アーリントンの高校に

進学し、陸上部と討論部で活躍する優等生に成長していた。

ある日、ルースが提出した課題を読んだ歴史教師のウィルソンは、彼が過激な

思想を持っているのではと問題視するが…。

 

以下ネタバレあり

 

 

 

原作は、J・C・リー(下の動画の男性)の戯曲”Luce”。

原作では、ルースの出身はコンゴだが、他はほぼ映画と同じようだ。

 

 

主人公の青年の名は、LUCE(ルース)。

映画内でも語られているが、養父母からイタリア語の“光”という言葉から

名付けられている。

御存じの方も多いだろうが、堕天使ルシファーは、元は”光をもたらす者”という

意味で名付けられた大天使。大天使ルシファー⇒堕天使⇒サタン(悪魔)となる。

主人公と重なってくるように思える。

imdbトリビアによると、LUCEという名のパイク種(先が尖った魚)がおり

非常に獰猛だと書かれていた。餌が無い時は、共食いする魚のようだ。

そこまで、考えれて付けらていたら、逆にすごい!

 

 

 ※ネタバレ注意

 

 

 (ネタバレあらすじ)

 

優等生ルース

戦争により荒廃した国・エリトリアで少年兵として生きていたルース。

7歳の頃、裕福なエドガー夫妻(ピーターとエイミー)の養子になり

陸上部と討論部で活躍する学校を代表する優等生に成長する。

 

危険な思想

歴史担当の教師、ハリエット・ウィルソンから呼び出された母エイミー。

教師から、ルースが課題として提出した内容を問題視していることを伝えられ

ルースのロッカーに花火(危険物)があったと、花火が入った袋を渡される。

教師が疑問視したのは、“意見の解決は銃で解決する”と書いた一文。

 

ルースの課題テーマ:フランツ・ファノン(思想家・革命家)

黒い皮膚・白い仮面 【新装版】 地に呪われたる者

 

 

エドガー夫妻

エイミーは、夫ピーターに学校でのことを伝え、

証拠の花火を隠し、ルースには伝えないことにする。

夕食時、エイミーが、ウィルソン先生についてルースに質問すると

ルースは、先生は学生を特定の役に押し付け、授業をすると説明。

自分は、悲劇を乗り越えた黒人、アメリカの両親の象徴とされていることに

嫌気がさしていると話す。

夕食の片付け中、ルースは、エイミーが隠した課題と花火の袋を見つけてしまう。

⇒ハリエットが、自分のロッカーを開け、両親に渡したことを知る。

 

宣戦布告

翌日、ルースは、ハリエットを討論部の活動に参加するよう仕向ける。

ウィルソン先生にお知恵を借りたい、と言いながら、自分のロッカーをあさった

ハリエットに対し、

「机をあさられてもプライバシーの侵害にはならない?」と質問する。

ハリウエットは、合理的疑いがあれば、と答える。

 

火花

ハリエットに呼び出されたルースは、彼女の電話を盗み聞きし

彼女には精神疾患を患うローズマリーという妹がいることを知る。

その後、ハリエットに課題について説明し、一応は問題解決したことになるが

帰り際、ルースはハリエットに好きな祝日は?と尋ねる。

独立記念日が好きだと話すルースは、自由の象徴であり、強さ、個人、

それに“花火”も好きだとほほ笑む。

ルースの真意に気づいたハリエットは、不当な扱いを受けたと思ったとしても

教師と生徒という立ち場や、学校がどういう場所か考えるようと注意する。

 

家族会議

ハリエットは、ルースの父親に電話し、ルースに脅されたと説明。

帰宅後、ルースは両親から問い詰められるが、先生を脅していないと説明し

ロッカーの花火は自分のものではないと主張。

ロッカーは、陸上部のメンバーを共有しており、半分は他人の荷物で

誰の何が入っているか知らないと答える。

母はルースの言葉を信じるが、父はルースの言葉を信用しない。

 

母とステファニー

ステファニーの件を知った母エイミーは、ある夜、直接会い話を聞くことに。

ステファニーは、性的被害にあった時のことを話し、ルースが救ってくれたと説明。

ハリエットが、デショーンのロッカーからマリファナを見つけ、

警察に通報したことを話す。

(デショーンは、それが原因で大学のスポーツ推薦の奨学金が消える。)

⇒エイミーに、ハリエット=悪と植え付ける?

 

ローズマリー

ハリエットは、精神疾患を患う妹のローズマリーと同居しようとするが

ある夜、ハリエットが入浴中、部屋の中がぐちゃぐちゃになっており

手に負えないと考えたハリエットは、ローズマリーを病院へ連れて行く。

ローズマリーは、ハリエットに捨てられたと思い

学校へ乱入し、服を脱ぎ棄て裸になり、警察に連れて行かれる騒動が起こる。

※部屋が荒らしていたのは、本当にローズマリー

 ローズマリーに、ハリエットの悪口を吹き込んだものがいる?

 ローズマリーに学校の場所を教えたのは?

 

落書きと嘘

自宅玄関に、赤いスプレーで“ニガーのビッチ”と書かれショックを受けていた

ハリエットのもとに、ステファニーが「ルースの件で相談が」と訪れる。

ステファニーは、ルースから性的暴行を受けたとハリエットに告白し

ハリエットは、校長にルースの件を報告。

校長は、ルースと両親、ハリエットとの5人での話し合いをすることに。

その間、ステファニーは別室で待機することに。

※ステファニーは、ルースの味方なのに何故?

 ハリエットを嵌める罠としての嘘なのか?

 

話し合い

校長、ハリエット、エドガー夫妻とルースでの話し合いが始まる。

ルースは、ハリエットに対し、失礼な口調だったことを謝罪する。

落書き犯がルースだと確信していたハリエットは、昨晩どこにいたかを

ルースに尋ねる。

ルースは、友人らとの動画を見せ、アリバイを証明する。

別室にいたステファニーはいつの間にか消えており、ハリエットは花火に

ついても説明しようとするが、校長は、話し合いを終わらせる。

 

火災発生

ルースは両親とともに帰宅。

その夜、ハリエットの机にあった花火が引火し、火災が発生。

ハリエットは、15年務めた学校をクビになる。

家にあった花火が消えたことを知ったエドガー夫妻は、火災はルースが

引き起こしたのでは?と疑うが、とても言い出すことは出来なかった。

※火災を起こしたのは誰なのか?

 

ハリエットの自宅

ルースは、花束を持ってハリエットの自宅を訪れる。

ハリエットに拒絶されるが、家の中に入るルース。

デショーンのロッカーからマリファナが発見された時のことを語りだす。

ルースのようになりなさいと言われた時の周囲の目を思い出すと言い、

何故完璧を求める?ハリエットのために成功の象徴になる気は無いと訴える。

ハリエットは、ルースは何もわかっていないと言い、アメリカが黒人らを

狭く汚く身動き取れない箱に入れているのだと言い、二人とも同じ箱に入っている

と話す。

アリバイを作っている間、誰に落書きや放火をさせたのかと責めた後、

ルースを家から追い出す。

 

ルースの怒り

運転中、エイミーはルースを見つけ、彼の後を追う。

ルースが、仲間との隠れ家に入り、ステファニーと抱き合っているのを見てしまう。

帰宅後、ルースにやり直したいと言われ、エイミーとルースは和解する。

後日、学校でのスピーチで、ルースは両親への感謝、アメリカ人であることの

幸運を語り、優等生ルースに戻る。

しかし、ジョギングに出たルースの表情は、次第に怒りで歪み始める。

~終~

 

 

 

 

母国では、幼い頃から銃を持たされたと語るルース。

エリトリアで少年兵として戦わされていたことが伺える。

難民になり、夫妻の養子として引き取られることになったのだろうか。

暴力はびこる国で生まれたルースは、アメリカでの生活の馴染むまでに

時間がかかったようだ。

自分と違う白人の裕福な両親に育てられ、生き延びるために努力し続け

学校を代表する文武両道の優秀な生徒にまで成長する。

 

表面上は、完璧な息子、そして完璧な学生を演じ続けていたルースは

同じ黒人の学生たちからも、“特別扱い=先生のお気に入り”というレッテルを

貼られ、うんざりしてたようだ。

 

苦労は人一倍経験しているとはいえ、まだ17歳。

校長先生は騙せても、ウィルソン先生や両親には見透かされていた。

そして、ウィルソン先生を追い出すことに成功しても、元通りの優等生には

もう戻れないはずだ。

 

彼はいつまで完璧な黒人青年を演じていくのだろう。

メッキをはがそうとする人があらわれるたびに、倒していくのか?

 

彼の緊張の糸が途切れた時、どうなってしまうのだろう?

 

 

 

 

 

デショーン役で出演したAstro (Stro)。

いつの間にかあんなに成長したのだと、驚きながら観ていた。

The X Factorの印象が強い。