ニューヨーク州北部の小さな教会「ファースト・リフォームド」の牧師トラー。
戦争で息子を失ったトラーは、罪悪感に苦しみ、従軍牧師の活動も退いていた。
ある日、ミサにやってきた信者のメアリーから、環境活動家である夫のマイケルの
悩みを聞いてほしいと頼まれる。マイケルは、地球の未来を憂い、メアリーの
お腹の子供の中絶を考えていた。
以下ネタバレあり
【映画ロケーション】
トラー牧師の教会 FIRST REFORMED CHURCH
: Zion Episcopal Church(NY クイーンズ)
アバンダント・ライフ教会(教会内のシーン) ※外観は別の建物
The Greater Allen A.M.E. Cathedral of New York
(インスパイアされたとされる作品)
「田舎司祭の日記」 ”Diary of a Country Priest”(1951) 監督:Robert Bresson
北フランスの小さな村に赴任した敬虔な若い司祭は、胃痛に悩まされながらも、
熱心に布教活動を行うが、閉鎖的な村人らと溝が生まれていく。
「冬の光」“Winter Light” (1963) 監督:イングマール・ベルイマン
スウェーデンの小さな村で牧師をしているトマスは、最愛の妻に先立たれ、
失意のどん底にあった。ある日、ミサの後に漁師の夫妻から相談を受ける。
妻から、中国の原子爆弾のニュースに悩んでいる夫を助けて欲しいと頼まれるが
自らも苦しむトマスは、悩みをうまく聞くことが出来なかった。
その後、漁師の夫が男がピストル自殺したと知らされる。
※以下ネタバレあり
(あらすじ)
1年間の日記
主人公:エルンスト・トラー
ファースト・リフォームド教会の牧師
体調不良(血尿) アルコール依存症
息子:ジョセフ イラク戦争で戦死 ⇒ 従軍牧師を辞める
トラー牧師は、入隊を勧めたことを後悔し、苦悩し続けている。
1年間だけの日記を書き始める。正直な思いを綴り、1年後処分予定
メンサナ夫妻
夫:マイケル (過激)環境保護活動家
妻:メアリー 妊婦 敬虔な信者
妻メアリーから、夫から話を聞き、相談に乗ってほしいと頼まれる。
未来の地球の過酷な気候変動等を憂い、妊娠中の子供を中絶しようとしていた。
自宅車庫から、爆弾も発見される。⇒牧師が処分のため持ち帰る。
マイケルの自殺
マイケルから公園に呼び出されたトラー牧師は、拳銃自殺したマイケルの遺体を
発見する。
マイケルの遺書に従い、水辺のゴミ処分場で葬儀を行い、聖歌隊には環境破壊問題
をテーマにした歌をうたってもらうことに。
汚れた水辺に妻メアリーによって散骨される。
メアリーは、マイケルの私物の処分を牧師に頼む。
ガン発覚
トラー牧師は胃痛のため、病院で検査をすると、胃ガンと診断される。
設立250周年記念式典
教会の設立250周年を祝う式典が計画され、式典には地元の名士らが参列することに。
教会の大口支援者の中に、工場の環境汚染が問題になっている大企業の経営者の
名前を発見する。
マイケルの持ち物の中にあった環境問題に関する書類に目を通したトラー牧師は
徐々にマイケル側の思想に傾倒し、式典で自爆テロを起こそうと考えるほどに。
式典当日
自爆テロを計画していたトラー牧師は、爆弾ベストを装着するが
メアリーが出席していたことに気づき、教会へ行かず、有刺鉄線を体に巻き付け
自らの体を傷つけはじめる。
その後、洗剤を飲み、自殺を図ろうとするが、メアリーが現れる。
2人は抱き合い、熱いキスをする。
~終~
監督が、映画「タクシー・ドライバー」と本作の関連性を語る。
(勝手な感想)
暗い・重い・極端!
無宗教で日本人の私には、なかなか共感出来ない部分も。
牧師も活動家も精神的な病に苦しめられていたようだが
選択を間違え続けていく姿が辛くて観ていられない。
牧師でも戦争反対はしないのか?と思ってしまうのだが
それがアメリカ、ということなのだろうか。
だが、主演のイーサン・ホークは、素晴らしかった。
悩み顔が似合う。
映画「いまを生きる」の頃から、笑うシーンよりも悲しいシーンで映える俳優。
当初は、主演にジェイク・ギレンフォールなども考えられていたようだが
顔的に濃すぎるし、若すぎるように思えたので、イーサン・ホークになって
良かったと思う。
好きではないけれど、素晴らしい作品。
というのが素直な感想です。