母子家庭に生まれ育ったオリヴァー。母親が亡くなり、天涯孤独となった彼は、ストリートに生きるグラフィティ・アーティストとなり、警察の目を逃れてロンドン市街の壁に絵を描くのを生きがいとしていた。ある日オリヴァーは、警察に追われるさなか、2人組の男女に助けられ、彼らのねぐらに案内される。そこではフェイギンという老人が身寄りのない若者たちと自由気ままな生活をしていて、オリヴァーも彼らの仲間に加わることに。
以下ネタバレあり
目次
原作「オリバー・ツイスト」(1838年刊)
イギリスの文豪C・ディケンズの古典的名作「オリバー・ツイスト」を、
大胆に翻案して現代風に映画化したものと、WOWOWで説明されている本作。
海外のサイトでの評価は散々な様子。
1968年に映画化された「オリバー!」(Oliver! )という名作があるためか
リメイクにはどうしてもハードルが上がってしまう。
オリバー・ツイストと考えなければ、そこそこ楽しい娯楽作品なのだが。
ラジー賞2部門ノミネート
2022年のゴールデン・ラズベリー賞(アカデミー賞授賞式の前夜に「最低」の
映画を表彰する)には、2部門にノミネートされている。
・Worst Screenplay
・Worst Prequel, Remake, Rip-off or Sequel
受賞されていないだけでも良しとしよう。
オリバー!(1968年)
「オリバー・ツイスト」の映像化として一番に思い出されるのは、やはり
1968年製作のミュージカル映画「オリバー!」。
第41回アカデミー賞では、12部門にノミネートされ、6部門受賞!
主演のマーク・レスターがとにかく可愛いが、子役スターあるあるで
派手な金遣い⇒薬物⇒仕事激減…という人生を歩んでいく。
サー・マイケル・ケイン
マイケル・ケインが、フェイギン役で出演していることについて
「何故、こんな映画に?」と書いているレビューを多く見かけた。
出演作が多い俳優だが、仕事好きで出来る限り依頼を断らないのでは?と
勝手に想像している。
Wikipediaでも紹介されているが、2000年のアカデミー賞授賞式で、司会の
ビリー・クリスタルから、「授賞式の休憩中にも1本撮るのかい?」と歌で
からかわれるほど。(マイケル・ケインへの歌は、5:55~。)
せっかくなら、全イギリス映画に出演し、マイケルを探せ”的な人物になってほしい。
この映画とは関係ないが、アカデミー賞の授賞式の司会は、
ビリー・クリスタル一択だ。この時の歌は、本当に面白かった。
パルクール
主役オリヴァーを演じたラフ・ロウは、インタビューの中で、
Sebastien Foucanの元で3か月間パルクールを学んだと語っていました。
危険なシーンは、スタントダブルが演じています。
映画ロケーション
Trafalgar Square(ロンドン)
トラガルファー広場のHenry Havelock像に向かい、車止めのポールを飛んでいく。
冒頭、オリヴァーが、赤ちゃん連れの母親を助けるシーン。
Leyden St, London
The Old Truman Brewery
風景に登場する煙突
パブ The Golden Heart
パブでの大喧嘩のシーン。
Oval Space(イベント会場)
警察を撒くシーン。
ネタバレあらすじ
オリヴァー・ツイスト
母:モリー
生活は苦しかったが、美術館に行き、名画を鑑賞し
家で絵を描いて楽しく暮らしていた。
母が亡くなった後、オリヴァーは逃走してしまう。
成長したオリヴァーは、1人ビルの屋上で暮らし、趣味の絵を描き続けていた。
出会い
ある日、交通監視員の車に落書きをし、追われていたオリヴァーは、
ドッジとベッツィと出会い、彼らの隠れ家に逃げ込むことに。
トルーマン醸造所の近くにあるその家には、フェイギンという老人がおり
親が無い子供や家の無い若者を住まわせ、彼の仕事(犯罪)を手伝わせていた。
ターゲット
美術商 クリスピン・ロスバーン博士
フェイギンが、自分の全てを奪われたと恨む人物。
ロスバーン博士の絵画を盗むために、フェイギンの指示のもと、動き始める。
(計画内容)
②レッドが、ロスバーン博士に近づき、バスルームの水道管を破裂させる。
③浸水のため、絵画を移動させようとした際に、絵画を盗む。
しかし、ロスバーン博士が計画に気づき、計画は失敗。
サイクス
レッドの恋人(レッドを支配する)
計画失敗から、サイクスが裏切り者だと判明。(ベッツィを殺害?)
フェイギンが手に入れようとした”封筒”を奪うため、仲間だったトム・チトリング
を殺害していたことも自供するが、”封筒”のためフェイギンは彼女に復讐すること
も出来ない。
オークション潜入
ロスバーン博士の絵画が、オークションに出品されることになり
オークション会場での強奪が最後のチャンスとなった。
彼らはそれぞれ変装し、オークション会場へ潜入。
オリヴァーが、エレベーターのロープで移動をし、絵画を盗み、逃走する。
フェンギン・チームvsサイクス
アジトに集まった一同。
ベッツィは、サイクスに殺されかけたと話す。
オリヴァーは、絵画をサイクスに渡すも、それは自分が描いた複製で
本物は隠してあると話す。
騙されたことを知ったサイクスは、フェンギンを撃ち、
逃走したオリヴァーとレッドを追うが、フェンギンがサイクスを射殺する。
⇒サイクスから、例の封筒を奪い返す。
ラスト
オリヴァーは、刑事のベドウィンとブラウンローの2人をあるカフェに呼び出し
盗まれた絵画のありかのヒントを残す。
オークション会場から盗まれた絵画は、2人が座ったテーブルの壁に飾られていた。
2人に託した鍵は、ロスバーン博士が盗んだ作品が保管されている倉庫の鍵だと判明。
すぐに、ロスバーンは逮捕され、フェンギンの復讐は終わる。
オリヴァーが母の名前で仕込んでおいた自作の絵が美術館で展示され
一躍謎の画家として有名に。オリヴァーは、レッドと交際を始め、仲間とともに
盗みをやめ絵を売る仕事をはじめることに。
~おわり~
酷評されているこの作品、個人的にはとても楽しめた。
それは、イギリスの風景がじゅうぶんに楽しめる作品だから。
特に、オープニングのパルクールは素晴らしかった。
原作のことは置いといて、甘酸っぱい青春アクション映画だと思って
楽しんでもらえたら嬉しいです。
主役のRafferty Lawは、名前からわかるようにジュード・ロウの息子。
パパには負けるがイケメンですね。