映画とドラマとロケ地

映画や海外ドラマの撮影地の紹介+レビュー

ジャズマンズ・ブルース A Jazzman's Blues (2022)

同じ村に住むバユとリアンは恋に落ち、付き合い始めるが、リアンの家族に反対され離れ離れになる。バユはリアンに手紙を送り続けるが、手紙は全てリアンの母によって送り返されていた。数年後、2人は再会するが、肌の白いリアンは白人のふりをして村の保安官のお金持ちの弟と結婚していた。

以下ネタバレ注意

 

カインとアベル

この作品は、旧約聖書『創世記』に登場するカインとアベルの兄弟の話をベースにしているという。神へ収穫物を捧げた際、神が弟アベルの供え物ばかり注目したことを恨み、兄のカインは弟を殺害してしまう。
(脚本・製作・監督を担当したタイラー・ペリーは、クリスチャン。)

 

タイラー・ペリー

上記にも書いたが、脚本・製作・監督と、タイラー・ペリーが作り上げた作品。
2020 年、タイム誌で「最も 影響力のある100 人」に選ばれている。
上記、日本語版Wikipediaでは、生い立ちについて詳細に書かれていないが、英語版のWikipediaを読むと、この映画の内容とリンクし、衝撃を受けるだろう。

他の作品でも紹介したことがあるが、タイラー・ペリーは、アトランタにあった旧軍事基地フォートマクファーソンの跡地に、広大な規模のスタジオを造りあげている。ホワイト・ハウスや高級ホテル、または、安モーテルやトレーラー・パークのセット等、ありとあらゆる作品に対応し、最近ではウォーキング・デッドの撮影にも使われている。もちろん、この作品もこのスタジオで撮影されている。

話が横道にそれるが、Oprah with Meghan and Harryのインタビュー番組で、ハリー王子とメーガン妃に3か月間、LAの自宅を無償で提供していたのが、タイラー・ペリーだったと判明する。
さすがやり手。
ちなみに、オプラとも親友で、この映画のトロント映画祭でのプレミアに招待していた。

 

ロケ地 サバンナ

タイラー・ペリー・スタジオ以外では、ジョージア州サバンナで主に撮影されていたようだ。

 

 

 

感想

アメリカの人種差別の時代がベースになっており、さらに
・主人公バユ:父親のDV(+兄からのいじめ)
・恋人リアン:父親からの性的虐待
が描かれ、家に居場所がない2人が、恋に落ち、真夜中に逢瀬を重ねていく。

ポイントは、アフリカ系のリアンが色白だという設定。
母親は、美しく色白な娘と黒人のバユとの縁を切るため、リアンを連れ去り、引っ越し先に届いたバユの手紙を娘に気づかれる前に送り返していた。
白人男性(+お金持ち)の男性と付き合いだした娘に、白人のふりをしろと命令し、結婚させてしまう。
結婚後、バユとリアンが再会し、リアンは危険を承知でバユに会いに行ってしまう。

物語を悲劇に導くのは、バユの兄の嫉妬。
子供の頃から、バユに暴力をふるうDVの父親に大切に育てられるが、父が自分を置いて家を出てしまいショックを受ける。父を追いかけ家を出るが、父は亡くなり、音楽で成功出来ず、薬に手を出してしまう。
自分が出会ったマネージャーは、バユの才能に惚れこみ、結果、弟のオマケとして雇われることになる。スターになっていくバユを目の当たりにしながら、薬の影響+プライドが邪魔をし、まともに演奏せずにクビになってしまう。
バユさえいなければ…という、ゆがんだ嫉妬から、悪魔に魂を売ってしまう。
彼は、あの後、どう生きたのだろうか。

最初と最後は、現代のシーンが描かれる。
議員に立候補し、差別主義者らしき男性のもとを、ある黒人女性が訪ねてくる。
無理やり彼に手紙の束を渡し、帰ってしまう。
手紙の宛先には、その男性の母親の名前が。
バユが出した、リアン宛ての手紙だった。
手紙を読んだリアンの息子は、母親の過去を知ることになる。
介護施設にいる母親に会いに行くと、母は紙飛行機を折り、バユのレコードを聴いていた。手紙の束に気づき、涙する母の前から黙って立ち去る男性。
ラストで、真実を知りぼう然とする男性の家に掲げられたアメリカ連合国の旗が映り、映画が終わる。


アメリカ連合軍の旗や、南部連合銅像は、歴史の遺産として残されていたが、今は差別の象徴だと撤廃されるようになってきた。
それに反対しているのが、例のあの人。

南部連合の旗に関して語るあの人の動画。

 

The Cult of Trump: A Leading Cult Expert Explains How the President Uses Mind Control (English Edition)

まさに、カルト的。