映画とドラマとロケ地

映画や海外ドラマの撮影地の紹介+レビュー

アナイアレイション -全滅領域- Annihilation (2018)

アナイアレイション -全滅領域- (字幕版)

3年前、アメリカのある灯台に隕石が落下し、その灯台を中心に、不可解な現象が起こり始める。そのエリアは、徐々に拡大し、調査隊が派遣されるが、生還するものは誰もいなかった。生物学者のレナの夫ケインも調査隊に参加していたが、極秘任務のため、レナには一切情報が入らないまま1年が過ぎていた。
ある日、突然ケインが帰宅するが、吐血。救急車で病院に向かうが、軍らしき車両に囲まれ、レナとケインはどこかに連れ去られてしまう。

以下ネタバレ注意

 

原作

全滅領域 (サザーン・リーチ1)

2014 年のJeff VanderMeerによる同名小説が原作。
Southern Reach Trilogyと呼ばれるシリーズの第一部の作品で、
①Annihilation 直訳「絶滅」 邦題「全滅領域」
②Authority 直訳「権威」 邦題「監視機構」
③Acceptance 直訳「受容」 邦題「世界受容」
というタイトルになっている。
作者のジェフ・ヴァンダミアが、セントマークス国立野生生物保護区にハイキングにいった際にひらめいたと言われている。灯台のモデルは、セントマーカス灯台

 

HeLa細胞

不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生

映画冒頭、生物学教授のレナの授業で、子宮頸がんの細胞が増殖するビデオが流れていたが、これは”HeLa細胞”だろうと言われている。
ヒト由来の最初の細胞株。不死化した細胞株で、世界中で試験や研究に使われているという。
映画内で、リサとケインが「不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生」(The Immortal Life of Henrietta Lacks )を読んでいるシーンもある。

 

ウロボロスのタトゥ

シマーに入った後、レナの腕にウロボロスのタトゥがあり、驚いた。
観なおしてみたが、シマーに入ったことでタトゥが出来たようだ。
アーニャや、殺されていた兵士の腕にも同じタトゥがあった。
ウロボロスは、自分の尾を飲み込む蛇のマークで、”死と再生”を意味しているという。
映画のセリフにも登場し、映画のテーマにもなっている”自己破壊”を表しているという。

 

ロケ地 シマー(The Shimmer)のシーン

Windsor Great Park
映画の舞台はアメリカだが、実際はイギリスのウィンザー・グレート・パーク内での撮影。上記動画は、公園の公式動画で、映画とは関係ない。

 

ロケ地 軍事基地

Bentwaters Royal Air Force station(旧空軍基地)
軍事基地の外観。

 

ロケ地 浜辺のシーン

Holkham beach
レナが一人で浜辺を歩くシーン。

 

あらすじ(ネタバレ)

主人公レナ
大学の生物学教授
夫:ケイン 軍人。1年前から消息不明。
レナは、何度も軍に問い合わせをするが、何も答えてもらえず。
寂しさを紛らわすため、レナは仕事に没頭していた。

ケインの帰宅
レナが、夫婦の寝室の壁を塗り替えている時に、突然夫ケインが帰宅する。
ぼう然とした様子のケインは、どうやって帰宅したかも覚えていない状況。
その後、突然吐血し、救急車で病院に向かうことに。
病院へ搬送中、軍らしき車両に救急車が囲まれ、レナとケインは無理やりどこかへ連れ去られてしまう。

サザンリーチの研究施設
レナが目覚めると、そこはサザンリーチの軍の研究施設だった。
心理学者のヴェントレス博士から、ケインが危篤状態だと説明を受ける。
そして、ケインが極秘任務である“シマー”から生還した唯一の生存者だと聞かされる。

シマーとは
シマーは、3年前に隕石がサザンリーチの灯台に墜落した後に出来た、神秘的なエリアで、徐々にエリアが拡大しているという。
何度か調査隊がシマー内部に足を踏み入れるが、生還したのはケインただ一人で、いまだ何も判明しないままになっていた。

女性だけの調査隊
①心理学者:ヴェントレス
②物理学者:ジョージー・ラデク
③人類学者:キャス・シェパード
④救急医療隊員:アーニャ・ソレンセン
生物学者:レナ
女性だけの調査隊として、レナは4人とともにシマーに足を踏み入れる。
シマーに入った直後、全員の記憶が飛ぶという現象が起こる。
記憶がないまま、キャンプ場所が設置され、食糧も数日分減っていた。
水辺には美しい花が咲き誇っていたが、一つの茎から複数の種類の花が咲いており、生物の変異が確認された。その後、沼で襲ってきた白いワニにも、サメ等の他の生物の特徴があることに気づき、生物にも変異が起こっていることに気づく。

調査隊の施設
過去の調査隊の施設にたどり着く。そこで見つけた「次の調査隊へ」と書かれたデーターにはある映像が記録されていた。レナの夫のケインが他の隊員の腹を切り裂き、その隊員の体内に何かがうごめいている様子が映っていた。
その夜、得体の知れない何かが、施設のフェンスから侵入し、人類学者のシェパードを襲い、連れ去ってしまう。

村の跡地
4人は、灯台を目指し施設を出発し、途中シェパードの死体を発見する。
その後、かつての村の跡地にたどり着き、そこに人の形に成長した植物を発見する。
シマーでは、あらゆる情報がプリズム効果により歪んでいき、それが原因で、通信妨害や生物変異が起きていると判明する。

ソレンセンの錯乱
医療隊員のソレンセンは、施設に残されていたビデオや、シェパードの死等でショックを受け、ビデオに映っていたのがレナの夫だと知り、錯乱状態に陥り、真夜中、レナやヴェントレス、ラデクの3人を襲い、椅子に縛りつける。
ソレンセンがレナを襲おうとした瞬間、外からシェパードの助けを求める声が聞こえ、慌てて飛び出していくが、それはシェパードを襲ったクマのような生物の声だった。
クマはシェパードを襲うことで、シェパードの恐怖を体に組み込んだようだ。
ソレンセンは、生物に襲われ殺されてしまう。
その後、生物はレナを襲うが、ラデクに助けられる。

灯台へ
ヴェントレスは、任務のため、一人灯台へ向かう。
翌朝、肌の一部が植物化していたラデクは、突然姿を消す。
レナも灯台へ向かい、中に残されていたビデオカメラを発見。
そこには、白リン弾で自殺をするケインの映像と、その様子を見ているもうひとりのケインの姿が映っていた。
レナは、灯台内に開いていた穴の中に入り、ヴェントレスを発見する。
ヴェントレスは、シマーが最終的に地球を飲み込み、全てを滅ぼすだろうと言い、炎に包まれていく。

レナに似た生物
何かがレナの血液を取り込み、細胞分裂を繰り返し、レナの動きを模倣するヒューマノイドを作り出す。
ヒューマノイドは、灯台から逃げ出そうとするレナを襲うが、その後もレナの動きを真似るを続けていた。レナはピンを抜いた手榴弾を持たせ、一瞬の隙に灯台を脱出する。
ヒューマノイドは炎に包まれ、灯台も焼け落ち、シマーも消滅する。

ラスト
シマーから脱出したレナは、サザンリーチの施設で尋問を受けていた。
尋問を終えたレナは、シマー消滅と同時に意識を取り戻したというケインと対面する。
レナがケインに「本当にケインなの?」と尋ねると、「違う」と答えるケイン。
ケインも「本当にレナなのか?」と尋ねるが、レナは答えないまま2人は抱き合う。
2人の瞳がきらめく様子が映し出される。

~おわり~

 

 

ひとこと

いくつか似た作品が思い浮かんだが、面白い作品だった。
Netflixで観るまで、全く知らなかったのだが、公開まで紆余曲折があったことを知った。
原作では、より詳細に描かれているということで、ぜひ読んでみたいと思っている。
3部作ということで、続編に期待したいが、今のところ予定は無さそうで残念。

好き嫌いがわかれそうな作品で、実際imdbのレビュー等を見ても、極端に低評価と高評価にわかれていた。個人的には7~8/10☆でした。

 

 

映画とは関係ないが、ナタリー・ポートマンのこのCMがとにかく好き!