映画とドラマとロケ地

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デューン/砂の惑星 Dune (1984)

デューン (字幕版)

Wikipediaより抜粋

砂に覆われ巨大な虫が支配する荒涼の惑星アラキス、通称デューンを舞台に、宇宙を支配する力を持つ「メランジ」と呼ばれるスパイスを巡る争いを軸にした壮大なドラマが展開される。

以下ネタバレあり

 

デイヴィッド・リンチ監督 カメオ出演

デイヴィッド・リンチ監督が、本作品内でカメオ出演しています。
上記動画で、インタビューに答え、そのシーンが紹介されています。
のちに、監督はこの作品を“失敗作”と評し、DVDのスペシャルエディション化の依頼が来ても、すべて断っているという。
そもそも、4時間の作品として撮影したものを、2時間にまとめるために配給会社に大幅カットされてしまっていた。
原作ファンから酷評されているこの作品だが、独特の世界観や雰囲気がとにかく好きだったので、ヘンテコ編集も逆に“不思議”さを増しているように思えていた。

 

運命の分かれ道

今作品の失敗がトラウマとなったデイヴィッド・リンチ監督。
実は、映画「スターウォーズ ジェダイの復讐」の監督のオファーがあったが、この作品を監督するために断っていたという。
だが、今作品での失敗の経験を活かし「ブルーベルベット」ではファイナルカットの権利を得て製作しアカデミー賞監督賞にノミネートされ、「ツインピークス」も大ヒットすることになる。
この作品での失敗が、のちの成功を導いていると思えば、監督人生にとっての分岐点だったのではと思う。

 

ルーラン姫の語り

映画冒頭、シャッダム四世の娘であるイルーラン姫の語りから始まる。
彼女がなぜ語り部なのかというと、のちに救世主となったポールの物語や、家族に関する歴史を書にまとめる偉大な歴史家になるということを意味している。

 

死体袋が衣装!?

The spacing guild(スペーシング・ギルド)の着ていた重厚な黒の衣装。
実は、1920年頃から消防署で使われていた遺体袋だと言われています。
実際に使った形跡があるため、撮影完了までキャストの目につかない場所に置かれていたそう。
そんなもの使うから…とのちに思ったりしたのではないでしょうか?

 

KwisatzHaderach

ラストで、アリア・アトレイデスが言う「KwisatzHaderach」という言葉。
ヘブライ語:「K'fitzatha-Derekh」(קְפִיצַתהַדֶּרֶךְ)=「The Leap of the Way」
2つの離れた場所の間を短時間で奇跡的に移動するという意味の言葉として使われている。

 

DUNE(2000)

1984年「デューン/砂の惑星」で描き切れなかった世界を映像化したテレビドラマ。
(265分)

2000年の「DUNE」の続編として作られたテレビドラマシリーズ「Frank Herbert's Children of Dune」(2003)。
原作「デューン/砂丘の子供たち」「デューン/砂漠の救世主」(一部)が描かれている。
2003年エミー賞受賞作品。

 

ねたばれあらすじ

スパイス“メランジ”
遠い将来、宇宙はシャッダム四世が支配していた。
宇宙で最も価値がある物質は、スパイス“メランジ”。
メランジは、寿命を延ばし、意識を拡張でき、さらには宇宙空間を折りたたみ、星の間を瞬時に移動することを可能にした。
スペーシング・ギルド(宇宙協会)は、スパイス生産を危険にする陰謀を明らかにするようシャッダム四世に命令する。
(ギルド:宇宙旅行、星間輸送、国際間銀行業務を独占する勢力)

アトレイデス家
シャッダム四世は、スパイスの唯一の供給源である惑星アラキスの権力と支配権をアトレイデス家に受け渡す。
しかし、アトレイデス家が到着するとすぐにハルコンネン家から攻撃を受ける。
(ハルコンネン家:アラキスを準領土としてきた公家。アトレイデス家と敵対する。)

ベネ・ゲセリット
アトレイデス公爵:ポールの父
レディ・ジェシカ:公爵の妾 ポールの母 ベネ・ゲセリットの侍者
メランジによって強化された驚異的な知覚力と身体能力を持つ“魔女”と呼ばれる女性達で組織された女子修道会。
レディ・ジェシカは、ベネ・ゲセリットからの命令で娘を生むよう命じられるが、命令に従わず、男の子(ポール)を出産する。
ポールは、母の教母であるマザー・モヒアムの致死の毒のテストを無事合格する。

アラキスへ
アトレイデス家は、故郷を離れ、別名デューンと呼ばれる砂の惑星アラキスへ向かう。砂漠には巨大な砂虫が生息していた。
アラキスの原住民フレーメンは、外世界から救世主(マフディー)が現れ、アラキスを緑の星に変えてくれると信じていた。
アトレイデス公爵がフレーメンと同盟を結ぼうとする直前、ハルコンネン家は公爵の主治医ウェリントン・ユエを脅迫し、シールドを解除させ、攻撃をし、アトレイデス側はほぼ全滅し、公爵も捕まってしまう。
公爵は、ユエに埋め込まれた毒ガスの義歯で、ハルコンネン男爵の暗殺にも失敗し、亡くなってしまう。

メシア
ポールとレディ・ジェシカは、ハルコンネン家の襲撃から生き延び、砂漠に逃げ込んだ後、フレーメンに捕まってしまう。
しかし、ムアドディブと名乗ったポールを、彼らが待ち望んでいたメシアと受け入れる。
ポールは、フレーメン達に音波兵器(モジュール)の使い方を教え、フレーメンの女性チャニと恋人関係に。

生命の水
レディ・ジェシカは、生命の水を飲んだことで、妊娠中の娘アリアを早産する。
アリアは、生まれながらにしてベネ・ゲセリットの教母の力を持つ人物となり、驚異的な早さで成長していく。
ポールも、生命の水を飲むことで、超能力と砂虫を制御する能力を得る。

皇帝の支配
シャッダム四世は、アラキスの空にいくつもの巨大な艦隊を送り、フレーメンを一掃して、アラキスの支配とスパイスの採掘権を独占しようとしていた。
ハルコネン男爵の甥であるラバンを斬首し、ハルコンネン男爵を呼び出す。
ポールは、ハルコンネン家と近衛兵軍団サルダウカーに攻撃を開始する。
砂虫の背中に乗り、モジュールを使い、サルダウカーを打ち負かしていく。

救世主クウィサッツ・ハデラック
ポールの妹アリアは、男爵を殺害。
ポールは、皇帝と対峙し、ハルコネン男爵の甥フェイド・ラウサと決闘し勝利。
その後、ポールがアラキスに雨を降らせると、アリアは、彼こそが救世主クウィサッツ・ハデラックであると宣言する。
~おわり~

 

 

感想

上記にも書いたが、酷評されているこの作品。
確かに原作に比べ、2時間にギュっと強引にまとめられた本作は薄っぺらいと思われても仕方がない。
しかし今回、最新作の「DUNE」と見比べるために、久々に観直したが、個人的には面白シーンが満載で、とても楽しめた。

 

個人的には、空中に浮かぶウラディミール・ハルコンネン男爵のシーンをいつも楽しみにしていた。
反重力装置の補助がなければ動くことが出来ない肥満体という設定。
当初、オーソン・ウェルズにこの役をオファーしたそうだが、「空中に浮かぶ太った男の役」と説明した途端に電話を切られたという逸話がある。

もう一つのお気に入りシーンは、角ばったシールド・トレーニングシーン。
2021年版と比べると、その古めかしさが、逆に面白くて何度も観たくなってしまう。

2021年版のDUNEは確かに美しい。
けれども、個人的には1984年当初頑張って作り上げたこの作品も妙に愛着がわいてしまう。
歳のせいかな。