映画とドラマとロケ地

映画や海外ドラマの撮影地の紹介+レビュー

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから The Half of It

町で一番の美女アスターに恋した、心優しく口下手なポール。

レポート代筆のバイトをしている成績優秀なエリーに、ラブレターの代筆を頼む。

最初は断っていたエリーだが、電気代の50ドル欲しさに一度だけの約束で

ポールに協力することに。

実は、エリーも密かにアスターに恋していた…。

 

以下ネタバレあり

 

 

アメリカの田舎町で唯一の中国人学生のエリー。

大人しいけれど優秀な高校生で、皆のレポートの代筆のアルバイトを請け負っている。

ある日、近所に住むアメフト部のポールに、町で一番の美女・アスターに渡す

ラブレターの代筆を頼まれ、始めは断るも、電気代の50ドル欲しさに、

一度だけの約束で代筆をすることに。

実はエリーも、他の学生と違い、優しくて美しいアスターに恋していた。

 

ポールは、将来、自分のタコス屋を開くのが夢だというまっすぐな好青年だが

口下手で、あまり勉強も得意ではないため、エリーはポールのために

色々な計画をたてていく。

 

アスターには、頭からっぽだが、金持ちのボンボンのトリッグという陽気な彼氏と

町一番の美女で人気者のアスターと仲良くなろうとする、派手な女友達がいるが

元は絵や詩の好きな真面目な性格のため、周囲とのギャップにとまどっていた。

 

アスターは、ポールから、自分好みの美しいラブレターをもらい、ポールに興味を

持つようになり、ついに二人はデートの約束を。

また、アスターとエリーもあることがきっかけで仲良くなっていく…。

 

 

邦題が怪しげで、またラブレターの代筆というありがちな内容に

B級感満載だと思っていたが、何故か評価が高いので、気になって観始めた。

 

ドタバタ学園ものを予想していたが、冒頭、いきなりプラトンの人間球体説が

語られはじめて驚かされた。

プラトンの「饗宴」に登場する話で、元々人間は、顔と手足が二対の球体で

脳も心臓も二人分ある強力で高慢な生き物のため、神にも度々逆らい

脅威を感じたゼウスが二つに切断したとされている。

恋愛とは、そもそも本来の球体になるべく、もう一方の半身を求めることで

分身同士が出会うと、完全な“愛”になるということのようだ。

 

 この球体、男と男、女と女、男と女という3種の組み合わせがあったと言われており

この映画では、アスターとトリッグ、アスターとポール、ポールとエリー、

エリーとアスター、どれが分身同士かな?などと考えさせてくれます。

 

新装 ぼくを探しに

有名絵本の「ぼくを探しに」も思い出してもいました。

何かが足らないと、自分のかけらを探す旅に出るが、いざ自分にぴったりな

かけらと出会い、球体となった僕はコロコロ勢いよく進んでいくが…という内容。

 

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

映画で出てきた「日の名残り」は、映画化もされたカズオ・イシグロさんの作品。

 

シラノ・ド・ベルジュラック ジェラール・ドパルデュー [HDマスター] [DVD]

ラブレターの代筆、といえば「シラノ・ド・ベルジュラック」。

舞台化や映画化されていますが、個人的にはジェラール・ドパルデュー主演の

ものが一番好きです。

 

主人公のエリーは、学校でただ一人の中国系の学生。

(エリー・)チュウという名前を、毎日のようにからかわれ、

学校でも一人で過ごしています。

中国ではエリートだった父も、英語が話せないというだけで、今は鉄道関係の

仕事をし、電気代も払えないほど貧乏な暮らしをしています。

さらに、エリーはアスターに恋しており、恋愛においてもマイノリティな存在。

自分の思いを押し殺し、ポールの手伝いをしながらアスターを見つめている

様子に切なくなってきます。

 

ポールの代筆依頼をきっかけに、夢をあきらめた父と孤独な日々を

送っていたエリーに友情が芽生え、町を出る日には、走り出した電車を

追いかけ見送ってくれるポールの姿。アスターへの恋心。

色々な気持ちを抱え、エリーが一人涙する感動のエンディング。

 

 

 

【映画ロケーション】

 

アスターとポールがデートをするレストラン SPARKY'S DINER

 

 駅(センダラ)

 

エリーとポールが歩くシーン

 

アスターが働く店 (ラストでのキスシーン)

 

他にも、書籍の引用や、エリーの父が観ていた映画のシーン等

細かく観ていくと、凝った作りになっており、観れば観るほど発見がある

作品だと思います。

ネットフリックスの映画を日々観ていますが、一番のお気に入り作品かも。

お勧めします!