映画とドラマとロケ地

映画や海外ドラマの撮影地の紹介+レビュー

ザ・メニュー THE MENU (2022)

ザ・メニュー (字幕版)

引用:Amazonプライム
孤島に佇むレストランを訪れた若いカップル(アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト)。そこではシェフ(レイフ・ファインズ)が極上のメニューを用意している。しかし、レストランのゲストたちはこのディナーに衝撃的なサプライズが待ち受けていることに気づくのだった…。

以下、ネタバレ注意。

 

物語のアイデア

この映画のアイデアは、脚本家のウィル・トレイシーが、ノルウェーのベルゲンにあるプライベート・アイランドにある高級レストランCornelius Sjømatrestaurantに船に乗って来店し、食事が終わるまでは島から出られない(閉じ込められている)と考え、ひらめいた物語だと言われている。

上記記事に詳細が紹介されています。

 

レストラン「NOMA」

映画に登場する超高級レストラン「ホーソン」は、「世界のベストレストラン50」で第1位に選出された「NOMA」の”「時間」と「場所」を感じさせる料理というコンセプト”等、NOMAを参考にしているのではと言われている。

料理コンサルタント

この映画の料理を担当したのは、サンフランシスコのレストラン「アトリエ・クレン」でミシュランの三つ星を獲得したアメリカで唯一の女性シェフであるドミニク・クレンさん。2024年、タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」の一人にも選ばれている。

 

ロケ地 離島

ジキル島 Jekyll Island
レストランがある島は、米・ジョージア州にあるジキル島(一部加工)での撮影。
当初はスコットランドでの撮影予定だったが、パンデミックのためにジョージア州に。

ドリフトウッド・ビーチ Driftwood Beach
船が到着した流木があるビーチは、ジキル島にあるドリフトウッド・ビーチでの撮影。
上記動画は、映画とは関係ないですが、ビーチの様子がよくわかる動画です。

 

ネタバレあらすじ

12人の招待客

①マーゴット・ミルズ(主人公 通称:マーゴ)
②タイラー・レッドフォード(美食家 マーゴを別の女性の代わりに同行させる。)
リリアン・ブルーム(料理評論家)
④テッド(リリアンの連れ、編集者)
⑤リチャード(裕福な常連客)
⑥アン・レイブラント(リチャードの妻)
⑦ジョージ・ディアス(映画スター)
⑧フェシリティ・リン(ジョージの個人秘書)
⑨ソレン(ビジネスマン・トリオ)
⑩デイブ(ビジネスマン・トリオ)
ブライス(ビジネスマン・トリオ)
⑫リンダ(シェフ・スローヴィクの母 アルコール依存症か?)

 

食事スタート

ディナーが始まると、シェフのスローヴィクは語り部となり、一品ごとに丁寧に料理を紹介していく。しかし、何故か不安を煽るような話が続いていく。
3番目のメニュー”記憶”では、招待客それぞれの黒歴史が印刷されたトルティーヤが運ばれ、不倫写真や偽請求書等が印刷され、招待客達もさすがに動揺しはじめる。


スーシェフの死

4番目のメニュー”混乱”では、スーシェフ(副料理長)のジェレミーが紹介されるが、客の目の前で銃を口にくわえ自殺をする。動揺する客に向かい、スローヴィクは出し物の一部で料金に含まれていますと説明。ショックを受ける客に向かい、料理評論家のリリアンは「余興だ」と客を落ち着かせる。お金持ちの常連客のリチャードが、妻を連れて店を出ようとするが、店に留まるよう警告され、スタッフらに押さえつけられて左手薬指を切断されてしまう。
さすがに皆、ショックを受けるが、何故かタイラーだけ平然と食事を続けていた。

GIVER or TAKER

マーゴはスローヴィクに呼ばれ、招待リストに入っていないマーゴが混乱をもたらすと言い、今夜全員が死ぬ予定だと告げられ、マーゴは与える者(店側)として死ぬか奪う者(客側)として死ぬか選択するよう迫られる。


口直し

椅子でガラス窓を叩き割ろうとしても強化ガラスでびくともせず、逃亡を諦めた客はスローヴィクの意図を問う。スローヴィクは「ご自分を味覚の構想の一部と考えてください」と答える。
そして、傲慢な料理評論家や、ひとつのメニューも答えられないリッチな常連客を責め、彼のメニューに口出しをしたスポンサー(=スローヴィクの所有者)であるエンジェル投資家のダグ・ヴェリクに翼を付けて海上に吊るし、海に沈めて殺してしまう。彼の叫び声が消えた後の静寂が、スローヴィクにとっての自由の証しだと語る。


男の過ち

次のメニューのタイトルは、“男の過ち”。
皆が店外に連れ出され、スーシェフのキャサリンから、ジュリアン(・スローヴィク)からセクハラ&パワハラを受けた話を聞かされる。キャサリンは、スローヴィクの太ももを刺し、スローヴィクは謝罪する。女性客らが集められ、キャサリンの料理を堪能するが、キャサリンこそが全員の死で完結するメニューを考え出した本人だと聞かされる。
男性客らは逃走のチャンスを与えられるが、皆すぐにスタッフに捕まり連れ戻されてしまう。
平然と食事を続けるタイラーに、スローヴィクが話しかけ、実は彼だけが最初から全員が死ぬというストーリーを知っていたことが判明する。マーゴは激怒し、彼を殴る。その後、スローヴィクは彼に料理を作るよう迫り、彼の料理を不味いと言い、耳もとで何かをささやき、タイラーは姿を消す。

 

樽を取りに

スローヴィクは何故かマーゴに、スモークハウスにあるエルザが忘れたデザートに必要な樽を取ってくるよう頼む。
キッチンから移動したマーゴは、タイラーが首を吊って自殺しているのを発見する。
その後、スローヴィクの家に忍び込んだマーゴは、彼女に嫉妬するエルザに襲われるも乱闘の末、エルザ―を刺し殺す。
その後、スローヴィクの若かりし頃の写真を発見する。
月間最優秀従業員賞を受賞した若かりし頃のスローヴィクは、とても幸せそうにハンバーガーを作っていた。
すぐに部屋に無線があることに気づいたマーゴは、救護を求め、フロアに戻る。
しばらくすると船の汽笛が聞こえ、沿岸警備隊員が到着する。映画スターのジョージ・ディアスがサインを求められ、助けを求めるメッセージを渡すが、実はその男性もスタッフの1人だったことが判明する。

 

以下、ネタバレのため文字反転。

追加のチーズバーガー

マーゴは、スローヴィクから通報したことを責められ「君も奪う側の人間だ」と言われる。
そこでマーゴは、スローヴィクと同じように手を叩き、スローヴィクの料理を愛情が無いと非難し、まだ空腹でぺこぺこだと訴える。スローヴィクから何が食べたいと聞かれ、マーゴは庶民的なアメリカンチーズを使ったチーズバーガーとフライドポテトを頼む。
その日初めて、スローヴィク自らが調理し、マーゴはそれを美味しそうにかぶりつく。
マーゴは、残りをテイクアウトすると言い、10ドルを支払って店を出る。

最後の一品

最後の一品であるデザートは、スモア。
スタッフは、ソースとグラハムクラッカーでレストランの床を飾り、招待客らにマシュマロのストールとチョコレートのフェズ帽をかぶせていく。
スローヴィクは、材料はひどい安物だが、清めの炎により素晴らしいデザートが完成されると語る。彼は店に火をつけ、自らも炎に包まれる。客もスタッフも炎の中死んでいく。(デザートのスモア、完成。)
マーゴは、ボートで島から逃げ出し、炎上する店を眺めながらチーズバーガーを食べ、店のメニューで口を拭った。

~おわり~





トリビアネタバレ注意)

ユダのヤギ

問題のシーンの動画(Youtube)

映画を見終わった後、すぐにネットで確認したのは、店まで案内する際、意味深に映っていたヤギ。これは、“ユダのヤギ”を意味する設定だったと知った。

ユダのヤギとは、動物の群れを管理するために訓練されたヤギで、屠殺場に牛等の家畜を誘導する時に利用されたと言われている。
これを知っている人は、あの時点で「招待客=殺害される」とわかる設定のようです。

 

7つの大罪

6つのテーブル+店側で、7つの大罪を意味していることも判明。
①強欲:横領した3人
②暴食:食の為に死も厭わないタイラー
③色欲:不倫をしていたリチャード
④嫉妬:映画俳優のジョージ
⑤傲慢:料理評論家のリリアンとテッド
⑥怠惰:息子スローヴィクが受ける虐待を止めず、アルコール依存症になった母
⑦憤怒:スローヴィクと店のスタッフたち

宗教について詳しければ、より細かい点が指摘出来るかもしれません。

 



ひとこと

ブラックコメディと評するサイトもあり、怖いものが苦手なのだが、レイフ・ファインズが主演で、アニャ・テイラー=ジョイが出演しているならばと観始めた。
そもそも、ゴールデングローブ賞では、2人が“ミュージカル・コメディ部門”でノミネートされていたし。

騙された!
怖すぎた!
でも、お勧めです。
是非。