引用:WOWOW
フロリダ州パームビーチ。主婦ジョイは自宅近くで失踪し、彼女の自転車には血痕が残っていた。数カ月前、ジョイと夫スタンは共同経営していた“ディレイニー・テニスアカデミー”を売却し、独立した4人の子どもたち、長男トロイ、次男ローガン、長女エイミー、次女ブルックと穏やかに引退後の生活を過ごそうと考えていた。しかしある日、サヴァンナと名乗る女性が突然現われる。彼女は暴力を振るう恋人から逃げてきたと言い、夫妻に助けを求めていた。
そして現在。連絡がつかなくなった母親を心配する子どもたちは捜索を始める。果たして事件か、事故か?警察を巻き込み、事態は深刻化していく。次第に明らかになるディレイニー家の秘密とは……。ジョイが失踪した日、いったい何があったのか?
以下、ネタバレ注意。
原作
2021年に出版されたオーストラリア出身の作家Liane Moriartyの「Apples Never Fall」が原作。日本語版はまだ出版されていないようだ。
同じくドラマ化された「ビックリトル・ライズ」は、「ささやかで大きな嘘」というタイトルで、創元推理文庫から出版されている。
ロケ地
ゴールドコースト周辺
ドラマの舞台は、実際に名門スポーツ(テニス)アカデミーがあるアメリカのフロリダ州パームビーチだが、撮影はオーストラリアのゴールドコースト周辺で行われた。
実際にパームビーチでの撮影申請をしたが、市議会から却下されたためオーストラリアでの撮影になったという。
上記記事では、却下された経緯が書かれている。
却下理由は、交通渋滞や撮影期間中の多くの見物人を懸念してということのようだ。
ビレッジ・ロードショウ・スタジオズ
ビレッジ・ロードショウ・スタジオズ Village Roadshow Studios
スタジオ撮影は、オクセンフォードにある映画スタジオが使われている。
エピソード
#1 ディレイニー家 The Delaneys
引用:WOWOW
元プロテニス選手のスタンとジョイは、フロリダでディレイニー・テニスアカデミーを主催していた。4人の子どもたちは跡を継がないため、夫婦はアカデミーの経営権を譲渡し、引退後は穏やかに暮らすつもりでいた。だがある日、ジョイがこつぜんと姿を消してしまう。母ジョイと連絡が取れない長女エイミーは警察に捜索願を出し、2人の弟と妹にも相談する。父スタンに尋ねるとジョイはモールに買い物に行っているだけと言うが……。
1話で判明したこと
・母の失踪:突然連絡が取れなくなる。父は周囲に病気等とウソをついている。
・両親の引退:テニスアカデミーを売却し、引退する。
・父スタン:頑固で厳格。言葉に棘あり。ある有望選手に裏切られたことを引きずる。
・母ジョイ:父を支え、子供達を守ってきた。頑固な夫に嫌気がさしている。
・子供達(4人):父の言葉に子供の頃から傷つけられている。
・サヴァンナ
母の失踪前にディレイニー家に滞在していた女性。素性がわからない人物。
現在はディレイニー家を出ている。
#2 ローガン Logan
引用:WOWOW
ローガンは保安官事務所を訪ね、7~8カ月前にディレイニー家に居候していたサヴァンナについて話をする。恋人の暴力から逃れるためディレイニー家のドアをたたいた彼女を、ジョイとスタンは気に入っていた。ある日、ローガンの勤め先でボートを借りて沖に出ようとしたが、サヴァンナは提示する身分証明書がなく書類の記入事項もすべて空欄。ローガンは、彼女を信用し切っている両親に気を付けるよう忠告するが聞く耳を持たず…。
2話で判明したこと
サヴァンナ
DV男の元から逃走した女性。財布やIDを持たず、着の身着のままでディレイニー家に現れた。当初は彼女を信用していなかったジョイも、すっかりサヴァンナを信用しきっているが、子供達は怪しみ探ろうとする。
父スタン
母がいなくなったのは、喧嘩が原因だと説明。顔に引っかき傷。
周囲に妻のことで嘘をつくが、見抜かれている。
母ジョイ
離婚弁護士に会っていたことが判明。
ジョイの自転車が発見される。(事件に巻き込まれた?)
#3 エイミー Amy
引用:WOWOW
2008年、大学生だったエイミーは自殺を図った。そのことはジョイとエイミーだけの秘密だった。そして現在、ジョイが失踪して4日目、カマーチョ刑事は会見を開き、ジョイが行方不明であることを公表する。同席したスタンに「あなたが殺したのか」と質問が飛ぶと、いたたまれなくなったエイミーは突然「母のために希望の輪を開く」と言い出す。程なく集会が開催されるが、そこに遺体が見つかったと知らせが入る……。
3話で判明したこと
現在
血痕がついた母のテニスアカデミーのジャケットが発見される。刺し傷無し。
本格的に警察の捜査がスタートする。(家宅捜索、DNA検査など。)
公開捜査に踏み切り、記者会見がニュースに。
ローガンが、失踪当夜、父がボートを使用していたことに気づく。
エイミー
大学4年生の時に自殺未遂。大学を中退する。(母とエイミーだけの秘密)
母失踪が公表され、希望の輪という集会を主催するが、家族からは自己中だと責められ、理解してもらえない。
トロイ
離婚協議中。同僚の女性と交際中。(年上女性、上司か?)
妻クレアは、不妊治療で苦しんでいた。
警察からの連絡
死体が発見され、確認に向かうが、母ではなかった。
#4 ブルック Brooke
引用:WOWOW
ブルックとサヴァンナの関係は、数カ月前のスタンの誕生日パーティーの夜に始まった。ジョイの入院後にディレイニー家に戻ったブルックは、サヴァンナと一夜をともにしたのだ。エイミーにそれを暴露され、ブルックは婚約者ジーナに告白を試みるも失敗し、逆にジーナを責めてしまう。一方、保安官事務所ではサヴァンナの指紋を照合した結果、彼女の三つの別名がヒット。それぞれ異なる州で逮捕されていたことが分かる……。
4話で判明したこと
ブルック
・ジーナ:婚約者(女性)
・サヴァンナと関係を持つ。(浮気)
・失踪前、母からジーナとの関係について励まされる。
トロイ
・恋人のルシアは、上司の妻だった。
・上司は、妻との不倫に気づかず、トロイに親切にしている。
現在
・母ジョイは、過去に不倫をしていたことが判明。
・サヴァンナは偽名。
サヴァンナの知人
・ボロ車を盗まれるが、その後、サヴァンナから謝礼として1万ドル渡される。
・サヴァンナは偽名。
・サヴァンナが残した荷物の中から、ディレイニー家に関する新聞記事が。
⇒サヴァンナは故意にディレイニー家に近づいた。
#5 トロイ Troy
引用:WOWOW
テニス界のスターであるハリー・ハダドは、スタンのかつての教え子である。スタンにはハリーを世界トップにする夢があったが、トロイがハリーとケンカした夜、スタンは突然ハリーの父親に解雇されてしまう。トロイに自分の夢を奪われたと、2人の間にはわだかまりが残っていた。ジョイの失踪8日目。サヴァンナがディレイニー家を去る際に持っていた大金について調べるカマーチョ刑事らにトロイは自分があげたと供述する……。
5話で判明したこと
トロイvsハリー
テニス界のスター、ハリー・ハダドは、かつてスタンの教え子だった。
父スタンはハリーの才能に賭けており、トロイを蔑ろにする。トロイは激怒し、ハリーと喧嘩になる。その夜、ハリーの父親にスタンはコーチを降ろされてしまう。
スタンはそのことをいまだに根にもっており、トロイもずっと父に恨まれていると感じていた。
サヴァンナの嘘
・サヴァンナの発言とほぼ同じ内容のインタビュー動画が発見される。
・父スタンや長男トロイは、サヴァンナを信用できなくなる。
・トロイは、サヴァンナからボスの妻との不倫を指摘され、4万ドルを要求される。
トロイ
・ボスの妻との不倫をボスに打ち明け、殴られる。
・トロイの不倫は終わる。
ハリーの裏切りに関する真実
父スタンは、トロイがキレて喧嘩になったことがきっかけでハリーに裏切られたと認識し、トロイを責める。
母ジョイは、スタンが息子を信じず息子を悪者にして殴ったことや、ハリーを世界チャンピオンにすることに固執していたことが許せず、ハリーの父親にもっと良いコーチが必要だと連絡したと初めて明かす。
#6 スタン Stan
引用:WOWOW
テニスコートで倒れたスタンは、病室で目を覚ました。不安発作と診断を受けて退院すると、家は家宅捜索が行なわれた後だった。スタンに優しく寄り添うのはブルックだけ。スタンはカマーチョ刑事らの取り調べで、妻を衝動的に殺害したという供述書にサインを求められるが、私は妻を殺していないと書き記す。ブルックは気になる情報提供者に会いに行くが、何も聞き出せない。その間にスタンは第一級殺人罪で逮捕され……。
6話で判明したこと
・警察は、ジョイ失踪犯の容疑者としてスタンを怪しんでいた。
・次女ブルックだけは、父スタンを心配し、父に弁護士をつける。
・母ジョイは、ハリーの解雇に関する告白をしたことで、家族全員から責められる。
・ジョイは、トロイの元妻にハリーの件を話し、トロイへの愛を語っていた。
・ある音源が証拠となり、スタンは逮捕される。
ジョイの思い
失踪前、ジョイは夫スタンに、今まで思っていたことをぶつける。
スタンは、度々家を出ていたことが判明。
妊娠中や子供が病気の時も、子供の良い思い出がある日も、スタンは何かあるごとに家を出ていたという。
毎回、ジョイも子供も父の失踪に苦しんできた。
スタンは、失踪するたびどこにいたのかという問いには答えず、浮気をしハリーからの解雇のきっかけを作ったジョイを責める。
父起訴の証拠音源
警察で父スタンの起訴の証拠となった音源を子供4人で聴くことに。
ジョイがスタンを罵った後、大きな物音が続き、「やめて」と叫ぶ母の声が録音されていた。
父をかばっていたブルックも、父が母を殺したことを確信し、父からの電話も拒絶する。
#7 ジョイ Joy (最終話:ネタバレ注意)
引用:WOWOW
ジョイの失踪当日。自転車で転んでけがをした彼女は、孤独を感じ突然サヴァンナを呼び出す。するとサヴァンナは自分が詐欺師で、寛大な人に近づいては金を手に入れていたと告白する。しかしジョイはそれを信じず、山奥にある彼女の家に泊まることになるが……。そして現在。子どもたちは、ジョイの持ち物を片付け始めていた。ジョイの写真を整理していると、ハリー・ハダドの隣に見覚えのある顔の少女が写っている写真を見つけ…。
※ネタバレ注意※
サヴァンナとは
本名:リンジー・ハダド
ハリー・ハダドの妹
ディレイニー家の4人は、ハリーと会い、サヴァンナに関する情報を得る。
母親が病気で不安定だったため、ディレイニー家がハリーにとって避難所だったと語る。両親が離婚し、父とハリーが家を出たため、母親はリンジーに依存して生きていた。
テニスに集中するため、妹からの連絡を無視していたが、ニュースになるたび妹が現れ、お金をせびられるようになる。子供や妻への脅迫もあり、自宅に銃を持って現れたことがきっかけで、引退を決意。最後に50万ドルの小切手を渡し、接近禁止命令を出していた。
ジョイ目線での時系列
自転車転倒
自転車で出かけたジョイは転倒し、自転車が壊れてしまう。
トロイに電話:留守電「助けて欲しい。」とメッセージ
他の子供達も夫も全て留守電に。
着ていたジャケットで怪我の部分を縛り、自転車を乗り捨て、歩いて自宅へ戻る。
血の付いたジャケットを玄関前のゴミ箱に捨てるが、近所の犬が持ち去る。
ハリーの自叙伝
手にス選手のハリーの自叙伝のコピーが、ディレイニー家に送られてくる。
ディレイニー家に関して書かれている箇所を確認してほしいという依頼だった。
長男のトロイと大喧嘩になったきっかけの試合に関する箇所があり、ハリーは自叙伝でズルをしたことを認めていた。
ジョイは、夫がハリーのズルを知っていながら、トロイを責めてハリーを庇ったことに気づき、責め続ける。
ジョイに責められ続けたスタンは、激怒し物に当たり、大きな音を立てる。
ポッドキャスト用に録音していた機器に会話が録音されていた。(母は生きている。)
携帯電話
夫と喧嘩の後、携帯を確認したジョイは、子供全員から食事の誘いを断られたことを知り、携帯を洗濯カゴに放り込み、出かける。
家に届いていたサヴァンナからのお礼の手紙を読み、店で電話を借りてサヴァンナに連絡する。
サヴァンナ
ジョイはサヴァンナと会い、何故うちに来たのかと問い詰める。
サヴァンナから、生きるために仕方なく詐欺をしていると説明され、トロイからお金をもらったからディレイニー家を出たと聞かされる。
サヴァンナは、ディレイニー家にいた時が人生で一番幸せだったと言い、ジョイも子供から得られないものをサヴァンナから得ていただろうと言われる。
ジョイは、サヴァンナの家に着いていくことに。⇒母失踪に
6日前
サヴァンナの小屋に滞在するジョイ。
隣人から声をかけられ、ダイアンと偽名で挨拶をするジョイ。
ジョイ・ディレイニーをお休みしたかったのかもと笑う。
隣人が働くカラオケバーへ行き、歌うジョイ。
隣人は、ジョイがサヴァンナの母親だと勘違いする。
サヴァンナは、ジョイの失踪が事件になっていることに気づいていた。
ジョイは、ようやく自分を許すことが出来た。
正体
サヴァンナの荷物を見て、彼女がハリーの妹のリンジーだと知ったジョイ。
ジョイは平静を装うが、サヴァンナもジョイがサヴァンナの素性を知ったことに気づく。
ジョイはサヴァンナに車で送ってもらおうとするが、ジョイは別の道を走り続ける。
ジョイが彼女の父に助言したことで、サヴァンナは毒親を押し付けられたと訴える。
サヴァンナは、自分の家族と同じようにディレイニー家を壊したかったと話す。
ジョイがサヴァンナに対し「貴方は愛されるべき人だ」と言った瞬間、車が追突される。
サヴァンナは、貴方を許すから貴方も私を許してと言い、その場から逃走する。
帰宅
ジョイは、無事に帰宅する。子供たちに、サヴァンナは捜索中だと話す。
スタンも帰宅し、ジョイの無事を喜ぶ。
警察から話を聞くまで家族の状況を知らなかったジョイは、誰がスタンを疑うの?と不思議そうに問い、スタンは子供たちから疑われたと話す。
家出の理由は、夫が今まで何度も家出をしており、腹いせに夫を真似て家出をしたと説明。
さらに、家族に電話しても全員から無視され、サヴァンナだけ電話に出てくれたと言い、寂しかったこと、絶望したのだと話す。
その後、夫から家出をした時のことを初めて聞かされる。
車で寝泊まりしていたと話し、初めて父親からのDVについて聞かされる。
スタンは、自分の中に父親と同じものある可能性(=”DVすること”)を恐れて家出していたこと語る。
ラスト
翌朝、子供たちから謝罪されたスタンは、自業自得だと話す。
ジョイは、ハリケーンでぐちゃぐちゃになったテニスコートに驚く。
「バカやっちゃった」と笑うジョイを見つめるスタン。
子供たちは、楽しそうにテニスコートを片付け始める。
~おわり~
ひとこと
残念ながら、ネット上での評価は低い。(RottenTomatoes他 平均約5/10☆)
だが、7話完結のドラマとして、見ごたえある内容になっている。
1話ごとに主人公が変わり、人物像が丁寧に描かれている。
真相はある程度予想はつくが、最後まで飽きさせない展開。
最後には、妻ジョイにとって深い傷になっていた夫の家出の真相も判明し、夫婦の長年のわだかまりがとけていくシーンでは、観る側の私も癒されていくような気持ちになった。
やはり、ディレイニー夫妻の年齢に近い中高年にオススメしたい。
今後のディレイニー家の幸せを祈って。