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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け (2022)

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け [DVD]

WOWOWより抜粋

2017年。ニューヨークタイムズ紙の記者トゥーイーはある女優から映画製作者ワインスタインから性暴力を受けたと知らされる。トゥーイーと同僚カンターが調べると、1990年代以来、ワインスタインが多くの女優・女性スタッフにセクハラや性暴力をしてきた実態が明らかに。しかも彼は被害者たちを脅迫したり口止め料を払ったりして真実を隠していた。トゥーイーとカンターはワインスタインを告発する記事を書き進めるが……。

以下ネタバレ注意

 

原作

She Said: Breaking the Sexual Harassment Story That Helped Ignite a Movement (English Edition)

New York Times誌のジョディ・カンター記者とミーガン・トゥーヘイ記者によって書かれた2019年のノンフィクション作品。#MeToo運動が広がったきっかけとなる作品。

ピューリッツァー賞受賞

ニューヨークタイムズ誌の2人の記事は、2018年のピューリッツァー賞(ジャーナリズム公益部門)を受賞。

 

本人役で出演

Ashley Judd
女優のアシュレイ・ジャッドは、本人役として映画に出演している。

abcニュースで、ワインスタインに関するインタビューを受けた時の動画。

 

ビル・オライリーのセクハラ問題

映画冒頭、「ジ・オライリー・ファクター」の司会者ビル・オライリーのセクハラ問題に関するシーンも登場する。
この件は、2019年の映画「Bombshel​​l」(邦題:スキャンダル)でも描かれている。

 

ロケ地

ニューヨークタイムズ

本物のニューヨーク・タイムズ社の建物(オフィス内も)で撮影された初めての作品。

 

証人から話を聞くシーン

Orsay(フランス料理店)
ジョディ・カンターが、証人の女性から話を聞くシーン。
ヴェネチアで起きた出来事を語り、他の証人を紹介してくれる。

 

ブライトンパーク

ミーガン・トゥーイーとジョディ・カンターが、公園でお茶するシーン。

ミーガン・トゥーイーが、ランス・マロフ(Lance Maerov)氏と話しをするシーン。

 

簡単なあらすじ(ネタバレあり)

大物映画製作者のセクハラスキャンダル
ニューヨークタイムズのジョディ・カンター記者は、女優のローズ・マッゴーワンが、大物映画製作者ハーベイ・ワインスタインから性的暴行を受けたという情報を得る。当初はコメントを拒否したマッゴーワンだったが、後日カンターに連絡し、ワインスタインからのレイプ被害について語る。
カンターは、女優のアシュリー・ジャッドやグウィネス・パルトロウからもワインスタインのセクハラに関し取材をするが、2人とも匿名を希望する。
その後、産休明けのミーガン・トゥーイー記者にも協力してもらうことに。

秘密保持契約
トゥーイーは、数十年前にミラマックスでワインスタインのアシスタントとして働いている途中、突如失踪した女性を探すことに。
しかし、そのアシスタントから、秘密保持契約(NDA)に署名したため、話すことが出来ないと断られてしまう。
カンターは、ワインスタインを告発した女性に対する過去の和解金に関し、ミラマックスの元最高財務責任者CFO)から聞き出そうとするが、失敗。
和解金の支払いに関する情報を要求するも、結局、入手することは出来なかった。

元アシスタントたち
カンターは、性的虐待を受けた可能性があるワインスタインの元アシスタント3人に関する情報を得て、1人ずつ直接会うことにする。
ローラ・マッデンは、当初、取材を受けることを拒否したが、ワインスタインの代理人が口止めの電話をかけてきたことで、取材を受けることを決める。

ワインスタイン側からの接触
ワインスタインは、取材のことを知り、ニューヨークタイムズに弁護士を送り込み、不正行為に関し、全てを否定。弁護士は、過去に多数和解金を支払っていることは認めるも、件数については明言をしなかった。
その後、ワインスタインの元会計士から、元従業員からの虐待疑惑に関する内部メモを入手。

記事掲載まで
タイムズ紙は、ワインスタイン社の取締役会に記事の掲載を通知し、声明を求める。
ワインスタインは、疑惑を否定、記者らに情報源を明らかにするよう圧力をかけ、記事の信頼性を落とすために画策しようとする。
しかし、最終的にワインスタインは大筋を認め、休業を発表する。
カンターとトゥーイーは、情報源である女性らに対し、名前を記事に残すよう説得するが、全員から辞退されていた。しかし、最後に女優のアシュレイ・ジャッドとローラ・マッデンから連絡が入り、記事に名前を載せることに同意する。

ラスト
タイムズ紙は、2017年10月5日に記事を掲載。
その後、82人の女性達が被害を名乗り出て、#MeToo運動となり、職場改革や法律改革につながっていく。
ワインスタインは、ニューヨーク州で、レイプと性的暴行罪で23年の刑で服役することに。
2023年2月23日に、ロサンゼルス州裁判所は、追加罪で有罪判決を下し、同地で懲役16年の刑を宣告されている。(万が一、NYで釈放されても、LAで再度16年服役することになる。)

 

 

ひとこと

この映画を観て思い出すのは、やはりジャニーズの性加害問題だろう。
数十年前から度々週刊誌ネタにはなっていたため、私でさえも見聞きしたことはあるが、全く社会問題にはならず、いつの間にか消えていった。
フォーリーブスのメンバーが暴露本を出版した際も、被害者として同情されることはなく、どちらかというとキワモノ扱いされていた気がする。

世界的な大物映画製作者であるハーヴェイ・ワインスタインが、有罪で服役しているのだから、日本もうやむやにしないでもらいたい。

映画としては、「スキャンダル」よりこの作品のほうが良かった。
W主演の2人も素晴らしかった。