映画とドラマとロケ地

映画や海外ドラマの撮影地の紹介+レビュー

ジュディ 虹の彼方に JUDY (2019)

ジュディ 虹の彼方に(字幕版)

女優のジュディ・ガーランドは、『オズの魔法使』(1939年)でハリウッドの大スターになるが、ステージママ(鬼母)によって十代の頃から薬漬けになり、大人になっても依存症から抜け出られず、キャリアにも陰りが見えていた。
3番目の元夫シドニー・ラフトに、娘ローナと息子ジョーイを預け、お金のためにロンドンでの5週間のライブに挑戦することになるが…。

以下ネタバレあり

 

 

主演のレネー・ゼルウィガーは、この作品でアカデミー賞主演女優賞を授賞。
歌のトレーニングのために1年間費やしたと言われている。
(スター御用達のボーカル・コーチEric Vetro氏とトレーニング。)

 

 【映画ロケーション】

ロンドン公演の劇場外観:Hackney Empire劇場

 

ロンドン公演の劇場の内部の撮影:Noël Coward Theatre

 

5番目の夫となるミッキー・ディーンズとデートをした場所。
The Hill Garden and Pergola

 

5番目の夫ミッキー・ディーンズとの結婚の様子。
映画同様、ロンドンでの公演期間に撮影されたもの。
1969年3月15日に結婚し、1969年6月22日の朝にジュディが亡くなるまでの約3か月間の結婚生活だった。

Weep No More My Lady: Judy Garland

ミッキーは、1972年に、Ann Pinchotとの共著で、ジュディの伝記本を出版する。
ジュディが亡くなった後は、”ジュディの最後の夫”という仕事で儲けていた様子。
映画でもうさん臭い人物として描かれていた。

 

ハリウッドの元大物映画プロデューサー、ハーベイ・ワインスタインの裁判で公になったように、ハリウッドには昔から様々な裏の顔があったようだ。
ジュディ・ガーランドの数々の逸話(というより犯罪)は、特にゾッとするほどの内容で、ダイエットと眠気防止目的(覚せい剤)+睡眠薬の常用や、性的虐待等が後に語られている。
映画のシーンでもあったが、ジュディがどれだけおなかが空いたといっても、撮影現場ではチキンスープしか与えられず、食欲減退のために沢山のタバコを吸わされ、ヘビースモーカーになってしまったようだ。

 

Get Happy: The Life of Judy Garland (English Edition)

Gerald Clarkeが書いたジュディの伝記『Get Happy: The Life of Judy Garland』が、先に映画化される予定だったが(主演:アン・ハサウェイ)、なんと、プロデューサーのハーベイ・ワインスタインが逮捕され、計画が頓挫したと言われている。
2009年映画化決定
2014年夏撮影スタート
2017年ワインスタイン逮捕
色々と皮肉な話だ。

 

この作品で一番素敵だったシーンは、ゲイカップルとの交流シーン。
ジュディは、既に60年代から同性愛者に対して偏見がないことで有名で、現在もゲイ・アイコンとして愛されている人物。

LGBTの象徴となっているレインボー・フラッグは、ジュディー・ガーランドの「虹の彼方に」に着想を得て、サンフランシスコのアーティストであるギルバート・ベイカーが製作したと言われている。

 

映画としては、レネー・ゼルウィガーの演技に圧倒されっぱなし。
命を削りながらスターであり続けたジュディを演じきっていた。
脇役にどんな俳優が出演していても、ジュディにしか目がいかない。
そんな素晴らしい作品だった。

9.5/10点
-0.5点は観終えて疲れ果てた。結末はわかっていたが、辛かった。