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グレート・ニュー・ワンダフル The Great New Wonderful (2005)

The Great New Wonderful - Special Edition

Amazonより抜粋
ニューヨーク、9月11日、午前8時46分。街に日常が取り戻され、人々は心に葛藤を抱えながら今日を生きていく!同時多発テロから1年後のニューヨークを舞台に、5つの物語が進行してゆく。 事件当日、崩壊したビルの7階にいた会社員、気難しい10歳の息子に手を焼きながら夫婦関係を維持しようと努める中年夫婦、ケーキ業界のトップを目指す野心的な女パティシエ、親友であり隣人であり同僚でもあるインド出身の2人のSP、古雑誌のコラージュが趣味の老主婦と夫。“あの日”の出来事と直接関係があったかどうかに関わらず、彼らの生活に影を落とした悲劇の余波を描くヒューマン・ドラマ。

以下、ネタバレ注意

 

ロケ地

中国の将軍が出てくるシーン

ニューヨーク・ヴィエトナム・ベテランズ・メモリアル・プラザ・スクエアそば
New York Vietnam Veterans Memorial Plaza Square
映画冒頭、インド人のボディーガードの2人が、中国の将軍を警護するシーン。
将軍が出てきた建物。

 

ジュディが友人と会うシーン(外観)

Scheuer House-Brighton Beach
実在する高齢者専用住居。ブライトンビーチそば。

 

自由の女神像そば

リバティアイランド (Liberty Island)
中国の将軍がスピーチをする場所。
カッとなったSatishが、一般人に暴力的な対応をし、Aviに平手打ちをされる。

ネタバレ感想

同時多発テロから1年後のニューヨークに住む人々の5つの物語が描かれた作品。
911のトラウマが、どのように人々の心に影を落としたかが描かれているため、重い内容。よくあるハッピーなオムニバス作品ではないので注意。

①パティシエのエメ
お金持ちや有名人を顧客に持つ女性パティシエ。
ライバルのパティシエであるSafarah Polskyに一歩リードされた状況。

②老婦人ジュディ
1日中テレビの前に座り、家事も何もしない夫にうんざりしている。
ある日、偶然高校時代の同級生ジェリーと再会する。

③会計士サンディ
崩壊したビルの7階で働いていた男性。日々セラピーを受けているが、悲しみを奥底に隠している様子。

ボディガードのインド人コンビ
中国の将軍の警備にあたるインド人のボディガード。
自宅も隣同士。
アヴィは明るい性格だが、サティシュは心に怒りを秘めている様子。

⑤問題児の一人息子を持つ両親
一人息子のチャーリーは、何度も停学処分を受ける問題児。
甘やかしすぎただけだと考える両親だが、チャーリーの暴力は止まらず、学校の児童心理学者に相談することに。

5つの物語は、全てが報われ、ハッピーエンドに終わるわけではない。
ニューヨークの人々が心に闇を抱えながら生きていき、テロの1年後の9月11日をどのように迎えるかまでが静かに描かれている。

テロの直接の被害者であるのは、倒壊するビルの7階で働いていたサンディ。
多くの同僚を亡くしている彼は、コンスタントにセラピーを受けている。
彼を担当する心理学者が、アラブ系の俳優であるトニー・シャルーブであるというところもポイント。
最終的に隠していた怒りを爆発させ、ニューヨークを離れ走り続けていく。
トラウマを少しずつでも克服していけそうに感じられる終わり方にはなっていた。

個人的に好きだったのは、一番わかりやすい、老婦人ジュディの物語。
夫との二人暮らしだが、夫は何にもせずに毎日テレビの前に座っているだけ。食事の時間も妻に出された食事を黙ってテレビを観ながら食べている。二人に会話は無い。
妻ジュディは、集会に参加したり、友人に会いに行ったりと活動的。ある日、高校時代の同級生の男性と出会い、何やら良い雰囲気に。つまらない日常に彩りが!と彼の家を訪れたジュディだが、実は彼は既婚者で、夫婦の幸せそうな様子を目の当たりにしてしまう。ガッカリし、帰宅したジュディは、ベランダでタバコを吸う夫を突き落とそうとしてしまう。その後に映る飛行機が、911の飛行機と重なりドキッとさせられた。
反省した夫は、自ら食器を片付けるようになるというエンディング。
上品な老婦人の怒りが一番危険だったという、ブラックジョーク的な話になっている。

ネット上での評価を見ると、好き嫌いが別れる作品のよう。
個人的にはニューヨークの街並みが映るので、満足度は高め。
大好きなMaggie Gyllenhaalが出演しているのが、嬉しかった。