映画とドラマとロケ地

映画や海外ドラマの撮影地の紹介+レビュー

ミナリ Minari 미나리 (2020)

ミナリ(字幕版)

 

WOWOW公式よりあらすじ抜粋

1983年。ジェイコブとその妻モニカ、幼い子ども2人、デビッドとアンから成る韓国系家族は農業で成功する夢を目指し、アーカンソー州に土地を買って引っ越してくる。だがそこは農業に必要な水源を探さねばならない土地で、ジェイコブはそれに苦心することになる。やがてモニカは一家につながりを取り戻そうと、母国の韓国から母親スンジャを呼び寄せて同居させることに。それでもジェイコブの事業はなかなか軌道に乗らず……。

 

以下ネタバレあり

 

 

 

アカデミー賞 助演女優賞授賞

第93回アカデミー賞 ユン・ヨジョンが韓国出身の俳優として史上初助演女優賞授賞。

 

アジア人として63年ぶり

アジア人として、1957年「サヨナラ」のナンシー梅木以来、63年ぶりの助演女優賞授賞となった。

 

リー・アイザック・チョン監督の半自伝的作品

韓国系移民二世で、アメリカの田舎町で育ったチョン監督の体験をもとに作られた作品。

 

My Ántonia(マイ・アントニーア)

マイ・アントニーア 新装版

アメリカの女流作家であるウィラ・キャダーが、ネブラスカ州レッド・クラウドの農場での経験を基にした作品「マイ・アントニーア」に影響を受け作られたという。

 

ゴーストップ 고스톱

祖母スンジャが孫たちに教える花札韓国版花札ゴーストップ

こいこいに似た設定のよう。

 

ミナリ(セリ)

映画のタイトルのミナリは、日本でいうセリ。(Oenanthe javanica)
Wikipeiaによると、公式サイトに『たくましく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味が込められている』と書かれていたそうだ。
監督のインタビューでは、『家族間の愛』を意味すると語っている。
実際に、監督の祖母が韓国からミナリの種を持ち込んだそうで、他の植物より良く育ったミナリに強い印象が残っていたそうだ。
個人的には、春になると近所の家族と共に水辺に摘みに行っていたこともあり思い入れがある植物だ。

 

【ロケ地】Meadow Lake Ranch

農場のシーンは、オクラホマ州サンドスプリングスにあるMeadow Lake Ranchにて撮影されました。

 

【ロケ地】屋上駐車場

屋上の駐車場のシーン:Philtower Garage

 

【ロケ地】Korean Market

病院の帰り道、立ち寄る韓国食料品店:Korean Market(オクラホマ州タルサ)

 

 

【ストーリー】※ネタバレ

1983年、ある韓国人移民家族が、カリフォルニア州からアーカンソー州に移住する。
夫婦は、ヒヨコ鑑別の仕事を始めるが、夫ジェイコブは、自分で育てた野菜をダラスで販売する計画を立てていた。
水脈を探すダウンジングにお金がかかると知ったジェイコブは、自ら井戸を作ろうと奮闘するが、上手くいかない。
妻モニカは、心臓疾患のある息子デビッドの心配もあり、夫の計画に失望する。
昼間、子供達の世話をしてもらうため、母方の祖母スンジャを韓国から呼び寄せることに。
スンジャは、韓国から持参したミナリの種を川辺に植え、子供達の世話に明け暮れる。
干ばつで農場は水不足になり、その上ダラスでの商売がうまくいかず、夫婦仲は悪化、結婚生活は破綻寸前に。
ある夜、祖母スンジャが脳卒中で倒れ、言語と身体に障害が残ってしまう。
息子デビッドの心臓疾患は劇的に良くなり、ジェイコブは韓国食料品店と契約を結ぶことが出来たが、ジェイコブとモニカは離婚を考えはじめる。
家族が外出中、スンジャは家族のために体が不自由ながらも懸命に働き、誤って倉庫に火をつけてしまう。
火事がきっかけで、ジェイコブとモニカはお互いの大切さに気づき、改めて家族そろって農場で暮らしていく決意をし、ダウンジングを依頼する。
スンジャが撒いたミナリの種は、川辺に生い茂げ、息子に案内されたジェイコブが嬉しそうに収穫していく。

~おわり~

 

(感想)
過酷な環境の中、生き抜いていく移民家族を描いた、力強い作品だった。
女性なので、モニカ目線で、夫の計画をハラハラ見守っていた。
映画によく登場するような、意地悪な同僚、移民を騙そうとする悪人や子供の学校でのいじめなどのシーンは無く、安心した。
ひよこ識別工場の同僚女性は親切で、ジェイコブ一家以外白人の信者ばかりの教会でも、皆歓迎してくれていた。
問題はとにかくジェイコブの農場がうまくいくかどうか。
ジェイコブ、モニカ、お互いが欠けては、いけない2人なのだろう。
2人で力を合わせ、農場を成功させてほしい。多分、出来るだろうという希望の光が見えながらのエンディング。
同じアジア人として、より応援したくなる作品だった。