アイルランドの田舎町。年頃の娘エイリシュは閉鎖的な環境の中、食料品店で自らの可能性を磨く機会もなく燻っていた。
そんな彼女に姉ローズはニューヨークで働く機会を用意してやる。
胸を膨らませアメリカ行きの客船に乗ったエイリシュは、見ず知らずの乗客に激励を受けながら新天地で第一歩を踏み出した。
以下ネタバレあり
久々に映画らしい映画を観て、余韻を楽しんでいる。
アイルランドに一時帰国してからの主人公の考え方に納得はいかなかったが、エンディングを観て納得。
ヒロイン、エイリッシュのアメリカでの生活を応援しながら見届けていた。
恋のシーンも大切だけれど、彼女がまっすぐに仕事や勉学を頑張っていく様子が素晴らしい。
重い病気を隠していたエイリッシュの姉は、聡明な妹がアイルランドでくすぶることが耐えられずに会うのが最後かもしれない、と思いながらもアメリカに送り出したのだろう。
エイリッシュが夜間の大学に通い、簿記の資格を取得したことで、安心して旅立てたと思いたい。
撮影は、アイルランドのウェックスフォード州エニスコーシー、ウェックスフォード、ダブリン等。(エニスコーシーは、原作者のコルム・トビーンの出身地。)
カナダのモントリオールにてアメリカのシーンの大半を。
アメリカのNY・コニーアイランドでも撮影している。
アイルランドの友人の結婚式の場面で。
帰国後、ダブルデートのビーチ。(Curracloe Beach)
エニスコーシーにて、自宅近辺の撮影。
素晴らしかったのが、クリスマスにアイルランド移民へ施す食事会での歌の場面。
ケルト語での「Casadh An tSúgáin」(「縄ない」)の独唱が心にしみわたる。
フラッド神父から、彼らは地下鉄やビル等、NYという街の建設にたずさわったアイルランド人労働者たちだという説明が入る。
エイリッシュの恋人は、イタリア移民の男性。
イタリア人ファミリーらしく、マンマの手作りパスタを家族全員で頬張っており、兄弟で家族経営の会社を作りあげようとしていた。
また、Fiorello家の、一番下の口が達者な弟フランキーの「アイリッシュマフィアに殴られた!」という台詞にもあるように、真面目に暮らす彼らのような移民の裏で、恐ろしいイタリアンマフィアやアイリッシュマフィアが暗躍もしていたのだろう。
とにかくこのフランキー君が、可愛らしくて!
ドジャースファンの恋人の話から、この時代がまだ、ロサンゼルス・ドジャースではなくブルックリン・ドジャースの時代だとも気づく。
最後に素敵なファンメイドの動画を。