映画とドラマとロケ地

映画や海外ドラマの撮影地の紹介+レビュー

ジュエル Jewel (2022)

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Nqobile Nunu(@nunukhumalo)がシェアした投稿

Netflixより
虐殺追悼碑を訪れた写真家が、ひとりの地元女性と出会い、心ひかれてゆく。

以下ネタバレあり

 

シャープビル虐殺事件

Wikipediaより抜粋

シャープビル虐殺事件(Sharpeville massacre)は、1960年3月21日に、南アフリカ共和国トランスバールヨハネスブルグ近郊のシャープビルで発生した虐殺事件。
アパルトヘイト政策を進める南アフリカ政府は、1952年にパス法を成立させ、国内の18歳以上の黒人に身分証の携帯を義務付け、白人との分離政策の強化を図る。
5,000~7,000人の群集は逮捕を覚悟で身分証を持たずにシャープビルの警察署前で抗議行動を開始。警察は抗議集団の最前線に装甲車を配備した。
午後1時15分頃、警察官が群集に対して発砲を開始。
69人が死亡、180人以上が負傷する。
1966年の国連総会で、3月21日を国際人種差別撤廃デーと決議。
南アフリカでは1994年以降、3月21日は「人権の日」に。

この映画の主人公Tyraは、旅行雑誌の女性カメラマン。
ケープタウンから、シャープビル虐殺事件が起こった町にやってきたという設定で映画がはじまっていく。

 

ロケ地 シャープビル・メモリアル

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Briefly South African News(@brieflynews)がシェアした投稿

Sharpeville Memorial

映画では、実際のシャープビル虐殺事件記念碑が映されている。

主人公Tyraが、白い煙幕の中から黒人男性が現れる幻覚を見るシーンがあった。
想像だが、あの白い煙は、当時警察官らが撒いた催涙ガスで、Tyraの父が実際に見たものなのだろう。
白い煙で周りが見えない中、突然現れた黒人男性に父は驚き発砲したのか?
それとも、撃った相手の顔を忘れられずにいたのか?
虐殺事件の被害者の霊からTyraへの訴えなのか?

 

糖尿病問題

南アフリカの貧困家庭、と聞くと、勝手なイメージで、飢餓・衛生問題などを想像しがちだが、現在の南アフリカでの肥満率は25%と言われ、世界的にも上位の肥満国となっているという。
それゆえ、糖尿病患者が急増し、2011年から2021年の間に患者数・死者数が約2倍にまで増加したという。

映画では、現地の美しい女性Siyaの祖母が、糖尿病でほぼ寝たきりという設定。
忘れずにインシュリン注射をするため、Siyaが管理していた。
この作品の海外での評価は低いが(多分日本でも低いだろう)、史実に基づいた物語で、現在の南アフリカの健康問題も表現しており、南アフリカについて何も知らない私にとっては、勉強になる内容だった。

 

ループ

映画のオープニングとエンディングで映るバール川。
最初と最後が同じシーン=“ループ”を意味していると思われる。
タイトルのjewelも、映画では、“l(L)”の字が、jを逆さまにした文字が使われており、逆さ言葉(上から読んでも下から読んでも同じ)を表現していた。

中盤で、主人公の女性カメラマンTyraの父親が、シャープビル虐殺事件で発砲した白人警察官だったことが判明する。
それを知ったSiyaの恋人がTyraを殺そうとし、そのことを責めたSiyaの祖母までカッとなり殺害してしまう。
あれだけSiyaに執着していた恋人は、二人を殺害したのち、Siyaには飽きたと言い訳をし、逃走することになる。

歴史は繰り返すというように、復讐のループを表現しているのだろうか。
憎悪・復讐のループからはなかなか抜け出せない。
復讐は、更なる復讐を生むだけで、何も解決はしない。

 

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Nqobile Nunu(@nunukhumalo)がシェアした投稿

 

感想

imdbでの評価は、3/10☆。
確かに、スピリチュアルなシーンは説明が少なく、わかりずらい。
結末もあっけにとられるものだった。

殺されかけたならば、普通は警察を呼ぶのが普通だが、シャーマンな女性に説得され、被害者であるTyraは通報せずに、状況を受け入れてしまう。
Siyaも祖母を殺され、Tyraも目の前で殺害されながらも、警察に行く様子はない。
Tyraが恋人に従順な(抵抗しない)様子も不思議だった。

社会派ドラマと思いきや、多くを語らず察してほしいというスピリチュアル系作品だったのかもしれない。
TyraとSiyaが惹かれあっている設定で(キスのシーンも)、南アフリカのLGBTQ+関連のヘイトクライム問題などもからめているのか?と思いきや、それについて語るシーンもなかった。

南アフリカの人が観ると、また違った感想になるのかもしれないが、いろいろと説明不足で惜しい作品だった。