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ディア・エヴァン・ハンセン Dear Evan Hansen (2021)

Dear Evan Hansen Original Motion Picture Soundtrack

WOWOWよりあらすじ抜粋
社交不安障害がある高校生の少年エヴァンはセラピストの助言で毎日、自分宛ての手紙を書いているが、同級生の少年コナーに手紙の一つを持ち去られてしまう。やがてエヴァンはコナーが自殺したと知って衝撃を受けるが、コナーの両親は息子の遺品からエヴァン宛ての手紙を見つけ、息子とエヴァンが親友同士だったと誤解する。エヴァンは彼らやコナーの妹ゾーイを傷つけないよう、手紙はコナーが書いたものだと、つい嘘をつくが……。

以下ネタバレあり

 

目次

 

第71回トニー賞で6部門を制したミュージカル

ブロードウェイ・ミュージカル作品を映画化。
舞台「ディア・エヴァン・ハンセン」は、第71回トニー賞では9つの賞にノミネート。
主演男優賞:ベン・プラット
主演女優賞:レイチェル・ベイ・ジョーンズ
ミュージカル作品賞、最優秀作曲賞を含む6つ賞を受賞した大ヒットミュージカル。

残念ながら、映画のほうは、ラジー賞(Golden Raspberry Awards)を4部門ノミネートされていた。(受賞は無し。)

ネポティズム

Nepotism:縁故主義
舞台「ディア・エヴァン・ハンセン」では、主演のベン・プラットは、トニー賞主演男優賞を受賞するが、映画化した作品は、彼の父親である大物プロデューサー、マーク・プラットが映画をプロデュースしていたため、ネポティズムだという批判を受けてしまう。
上記動画では、主演のベン・プラットがその件に関するインタビューを受けている。
27歳のベン・プラットが高校生役を演じていることも、ツッコまれる要因だったようだが、見た目を若く見せるために撮影時にはかなり減量したと言われている。
日本でも俳優と年齢設定のギャップはよくあることで、個人的にはあまり気にならなかったが、縁故問題で余計に叩かれてしまったのだろう。

 

高校時代の体験を基に

舞台の音楽を担当したのは、ミュージカル界注目の作曲家(デュオ)パセク&ポール。
パセク(ベンジ・パセク)が高校時代に体験したことをヒントに作られた作品だった。
パセクが通っていたウィンウッドのFriends' Central Schoolで、2000 年に薬物問題に悩んでいた若者が亡くなるという事件が起きた。
その際、亡くなった人物を知らない人達から、追悼の声があがっていったということがあったようだ。

 

スミソニアン博物館に寄贈

映画ではなく舞台のものだが、2018年に、映画でも着ていたエヴァンの水色のポロシャツや、コナーと書かれた腕のギプス、「Dear Evan Hansen」の手紙のコピーや楽譜等が、スミソニアン博物館に寄贈されている。

 

映画化では、義父に

舞台では、亡くなったコナーの父は、仕事中心の白人の実父という設定だったが、映画では、ラテン系のダニー・ピノが演じ、義理の父親という設定に変わっていた。
原作である舞台ファンたちは、この部分もかなり酷評したようだが、個人的に特に気にならなかった。

 

ロケ地 学校

Our Lady of Mercy Catholic High School

 

ロケ地 果樹園

B.J. Reece Orchards(ジョージア州

映画では、Connor Murphy Memorial Orchard と名付けられる。

 

ネタバレあらすじ

エヴァン・ハンセン

社会不安障害に苦しむ17歳の青年。
セラピストから、自分自身宛てに「今日は良い日になる」という理由を書いた手紙を書くよう勧められていた。
エヴァンは木から落ち腕を骨折していた。母親のハイディから、友達づくりのきっかけに、ギプスに名前を書いてもらうようマジックを渡してくるが、唯一親しくしているジャレッドからも名前の記入を断られてしまう。
孤独なエヴァンは、学校で「自分がもしいなくなったら。誰か気付くのだろうか?」と考えながら、自分宛てに手紙を書いた。

コナー・マーフィー
同級生のコナー・マーフィー は、エヴァンのぎこちない動きを“敵意”と誤解し、激怒。呆然とするエヴァンに、コナーの妹の妹が謝罪にくるが、彼女に恋していたエヴァンは慌ててその場を立ち去ってしまう。
その後、エヴァンはコナーから話しかけられ、ギプスに大きく“CONNOR”と名前を書かれてしまう。しかし、エヴァンの手紙を偶然読んだコナーは、妹のゾーイに関して書かれていることに気づき、自分への挑発か?とまた激怒し、手紙を持ち去ってしまう。

コナーの死

3日後、職員室に呼ばれたエヴァンは、コナーの両親(実母と義父)と会うことに。
2人から、コナーが自殺したと聞かされ、驚くエヴァン。さらに、彼の両親は、コナーが持ち去ったエヴァンの手紙を、友達だったエヴァン宛ての遺書と誤解し、会いに来ていた。
エヴァンは誤解を解こうとするが、上手く説明出来ずにいると、コナーの母が彼のギプスに書かれたコナーの名前を見つけ、涙ぐまれてしまい、勘違いされたままになってしまう。

自宅に招かれるエヴァ

エヴァンは、コナーの両親から彼の唯一の親友だと誤解されたまま、夕食に招待されてしまう。エヴァンは、今度こそ誤解を解こうとするが、エヴァンを親友だと信じ切っているコナーの母・シンシアをがっかりさせたくないため、(コナーが好きだった)果樹園で腕を骨折したと嘘をついてしまう。

更なる嘘

引き返せなくなったエヴァンは、ジャレッドに協力してもらい、コナーからのメールを作成し、コナーの家族に彼との嘘の思い出を語り続ける。
エヴァンが片思いをしていたゾーイには、自分のゾーイへの思いを、コナーの妹への思いに替えて、ゾーイに伝えていく。

 

コナー・プロジェクト

エヴァンは、生前のコナーと親しかったアラナから声をかけられ、「コナー・プロジェクト」を提案される。集会では、エヴァンはコナーについてスピーチをするが、その時の動画が口コミで広がっていき、エヴァンの言葉が精神疾患で苦しむ人々への希望のメッセージとなっていく。

 

幸せな日々

エヴァンとアラナは、コナー・プロジェクトの一環として、コナーが好きだったという果樹園を再開するためのクラウドファンディングを始める。
エヴァンは、カウンセリングに行かず、親しくなったマーフィー家と過ごす時間が増えていく。
さらに、ゾーイと恋に落ち、さらにコナーの両親からは、大学資金の援助の話まで持ち上がる。しかし、コナーの母ハイディは、マーフィー家の申し出を辞退する。

家族への批判

アラナは、コナーとエヴァンの友情を疑いはじめ、エヴァンはコナーの両親が遺書だと勘違いした手紙をアラナに見せる。
アラナは、コナー・プロジェクトのために、エヴァンの手紙を投稿し、資金援助を求めるが、ネット上では、遺書が家族宛てではないことを疑問に思った人々が、コナーの家族を責めはじめる。
アラナは、すぐに手紙の画像を削除したが、既にネット上で拡散されていた。

真実を語るエヴァ

コナーの母シンシアと義父ラリーが口論している姿を見たエヴァンは、全てを告白する。コナーの母シンシアはショックを受けながらも、もし事実を公表すれば、エヴァンまで自殺をしてしまうかもしれないと考え、公表しないことを決めた。
エヴァンは、帰宅した母にも本当のことを伝え、腕の骨折は自ら落ちた怪我(自殺)だと話す。母は、父親が出て行った時の話をし、自分だけはずっとエヴァンのそばにいると抱きしめる。
エヴァンは、自分のSNSで真実を公表する。

 

コナーのために

孤独な学生生活の中、エヴァンはコナーのお気に入りの本を読み、彼を実際に知る人々に連絡を取り、コナーの人となりを知ろうとしていく。
コナーがリハビリ中に、ギターの弾き語りをする動画を見つけたエヴァンは、マーフィー家とアラナとジャレッドに郵送する。
エヴァンは、ゾーイ・プロジェクトのクラウドファンディングによって再会された果樹園で、ゾーイと再会する。2人は和解し、ゾーイはエヴァンにコナーが愛していた唯一の場所をエヴァンに見てもらいたいと話す。
エヴァンは、果樹園で自分宛ての手紙を書き、どんなにつらくても、人生を前進していくと誓う。

~終わり~

 

 

 

感想

舞台のファンの方からは、不評のようだが、素晴らしい作品だった。
エヴァンの気持ちが痛いほど伝わってきて、共感し続けていた。
エヴァンは卒業まで、他の学生らに軽蔑され、孤独の日々を過ごすことになったが、コナーの人生をたどることで、1人でいることも他人からの視線も克服したように見えた。
自分で引き起こした出来事とはいえ、ショック療法のように、エヴァンの心を強くしたのかもしれない。

エヴァンの未来に幸あれ!