NY在住の女流作家が新聞広告で観たロンドンの古書店に稀覯本の注文を出すと、真に丁寧な返信と共に目当ての本が送られてき、小踊りした彼女は以来、文通という形で単なる友情を越えた感情を、その古書店主と、以後20年以上に渡って分け合っていくことになる……。
以下ネタバレ注意
原作
原作は、映画の主人公でもあるアメリカ人作家ヘレン・ハンフさんの同名作品。
ロンドンの書店マークス・アンド・カンパニーのチーフ・バイヤーであるフランク・ドエル氏と20年間にわたる交流が書かれている。
ドエル氏が、1968年12月に亡くなり、店は1970年12月に閉店。ハンフが、ロンドンに行ったのは1971年夏で、映画同様、空き店舗になっていたという。
テレビ映画化後、舞台に
1975年にテレビ映画として放送された後、James Roose-Evansが戯曲を書き、1981年夏英ソールズベリー・プレイハウスに初公演。1982年にブロードウェイに進出し、様々な賞を受賞する。
この映画では、舞台には登場しないヘレンのニューヨークの友人たちや、ドエル氏の妻等が追加されている。
Marks & Co
映画に登場するMarks & Coは、ロンドンのチャリング・クロスロード84番地に実際にあった古書店。現在は、マクドナルドの建物になっている。
上記のGoogle Mapで確認出来る壁の丸い銘板には、“84 Charing Cross Road. The booksellers Marks & Co. were on this site which became world renowned through the book by Helene Hanff.”と書かれている。
Charing Cross House
ヘレンが実際に住んでいたニューヨークのアパートメントは、チャーリングクロスハウスと呼ばれており、入り口の横に見える四角い銘板は、ヘレンの居住地と書籍出版を記念した内容が書かれているという。
ざっくりあらすじ
1971年
ニューヨークに住む作家のヘレン・ハンフは、イギリスへ向かう機内にいた。
到着後、長年交流を続けていたロンドンの古書店Marcs & Coへ向かう。
ヘレンは、閉店し空き店舗になった建物に入り、1949年に店に初めて書いた手紙のことを思い出していた。
1949年
ハンフは、ニューヨークにある書店でイギリスの古典文学の本を探していたが、良いものが見つからずがっかりしていた。
そんな時に、イギリスの古書店マークス&カンパニーの広告を見て、欲しい本について書いた手紙を出す。
すると、店のチーフバイヤーのフランク・ドエル氏から手紙と共に探していた書籍が送られてきた。
交流
ハンフとドエルの手紙から始まり、ハンフと書店員たちに友情が芽生えてくる。
ハンフは、配給制が続くロンドンで暮らすドエルたちのために、デンマークからホリデーパッケージ(食料小包)を送り、食糧不足で苦しんでいた店員たちの家族共々ハンフに感謝する。
ロンドン行きが中止に
ハンフは、書店員たちに会うためロンドン旅行を計画するが、タイミング悪く高額な医療費の支払いがあり、ロンドン行きを断念。
1969年1月
ハンフは、ドエルの妻からの手紙を受け取り、ドエルが68年の年末に虫垂破裂による腹膜炎で亡くなり、書店も閉店されたことを知る。
ラスト
1971 年の夏、彼女はとうとうチャリングクロスロードにある空き店舗を訪れる。
~おわり~
ひとこと
Netflixのおすすめのトップに表示され、ロンドンとニューヨークが舞台だと知り、即鑑賞。
観始めた途端に映画の世界に引きずり込まれ、ヘレン・ハンフ役のアン・バンクロフトとフランク・ドエル役のアンソニー・ホプキンスの演技に釘付けに。
本好きとして、書籍に関する内容なのも嬉しかった。
ネット注文すれば翌日欲しい本が届き、海外ともネット上で顔を合わせてやり取りできる現在、映画の中の時代は何もかもが不便に思えるが、その状況ゆえ相手を思いやり、手紙で人となりを知り、徐々に友情を育んでいく様子が羨ましく思えた。
いつかロンドンに行く時は、必ずや立ち寄ります。チャーリング・クロス街84番地。
ロケ地
ロンドンとニューヨークで撮影され、ロンドンでは、バッキンガム宮殿、ソーホー、トラファルガー広場、セントジェームス宮殿、ウェストミンスター等で撮影されています。ニューヨークでは、セントラル パーク、マディソンアベニュー、セントトーマス教会等。
The Corner Bookstore(ニューヨーク)
ヘレンが立ち寄った書店。
East 94th Street沿い(ニューヨーク)
ヘレンの自宅
Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum(ニューヨーク)
犬の散歩をしながら立ち話をするシーン。
Glynde Place(英・グリンデ村)
ドエル氏が郊外の邸宅に、本を探しに行くシーン。
Eastbourne Pier(英・イーストボーン)
ドエル氏が家族と埠頭に来ているシーン。
Soho Square(ロンドン)
ドエル氏がベンチに座り、ミニスカートの女性が通るのを眺めるシーン。