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レプタイル 蜥蜴 Reptile (2023)

若い不動産業者が惨殺される事件が発生する。ベテラン刑事トム・ニコルズは、捜査を開始するが、次第に事件の背後にある複雑で危険な真実にたどり着いていく。

以下ネタバレ注意

 

Murder of Lindsay Buziak

2008年2月2日に起こったカナダの不動産業者の女性の殺害事件(未解決)と類似点が多く、この事件を参考にした作品だと言われている。
共通点
①不動産業者の女性が内見中に殺害される。
②複数回刺されている。
③被害者の恋人は、不動産業で成功した裕福な家の息子。
④第一発見者は被害者の恋人。

 

 

ネタバレあらすじ

不動産業者殺害事件
被害者:サマー(Summer Elswick)
恋人:ウィル Will Grady 不動産で財を成した裕福な家の息子 母と不動産業を経営
発見者は、ウィル。
サマーは何度も刺され死亡。⇒怨恨?
ウィルは嘘発見器にもかけられるが、すぐに容疑者リストから外される。
事件現場から走り去る車が確認される。

事件担当
トム・ニコルズ :主人公 相棒の汚職事件を告発し、職場で村八分になり引っ越す。
ダン・クリアリー:トムの相棒
ロバート・アレン警部:トムの妻ジュディの叔父。トムの上司。多発性硬化症に。
(その他)
ウィル:麻薬課 親しい警官仲間の1人。Active Duty Security Consultingというコンサル会社を経営し、羽振りが良い。
ジュディ:トムの妻 社交的 推理好き
    
容疑者
①恋人 ウィル
・ウィルとサマーは、喧嘩をしていた。
・サマーは、ウィルの大切なイベントを欠席する。
・サマーが友人に相談しているシーンあり。
・ウィルの母は、息子に過干渉。

②被害者の別居中の夫 サム
・女性の髪を収集する性癖あり。バスの防犯カメラに女性の髪を切る様子が。
・被害者からサムのDNAが検出する。⇒いまだ関係を持っていた。
・サムが銃を手にし抵抗したため、トムが射殺。

③グレイディ家に恨みを持つ男性 イーライ・フィリップス
・イーライは、Grady家を訪ね、父の自殺の原因がGrady家だと訴える。
・ネット上に、Grady家の不動産会社に関する記事を公開している。
・事件を担当するトムに関する情報も手に入れていた。
・トムの自宅へ侵入しようとし逮捕されるが、USBを残していく。
・イーライは、ウィルと何者か(姿映らず)に口封じされてしまう。

USBの内容
・White Fish Assetsという会社
・サマーが扱った家の共通点⇒ドラッグ事件で民事没収された家
・ウィルとウィルの母が嘘をついているという証拠

アレン警部の誕生パーティー
トムは妻ジュディと共に、誕生日パーティーへ出席するためアレン警部の自宅へ。
サマー殺害時に目撃された車と同じ車種の車を発見し、写真を撮る。
アレン警部は、知人から預かっていると説明し、慌てて車にカバーをかける。
アレン警部の事件関与を知り、妻と急いで帰宅するが、途中パトカーに止められ家まで送り届けられる。⇒監視され危険な状況。
妻に真実を全て伝える。

 

※以下結末。ネタバレ注意。


サマー殺害理由
ウォーリー
ドラッグを故意に家に隠し、ウォーリーら麻薬課がドラッグを発見。家は没収される。
ウィル(Grady家両親)
差し押さえになった家をダミー会社White Fish Assets Inc.が安価で購入、ウィルがその後転売し、利益を得る。
そのからくりに気づいたサマーが、FBIに通報したため殺害される。

ラスト
トムは翌日、署長にUSBを渡し、2人はアレン警部のもとへ。
トムに「逃げろ」と言ったアレン警部は射殺され、トムはウォーリーに撃たれる。
その後、トムは署長を射殺し、ウォーリーとの一騎打ちに。
トムは、ウォーリーを撃った後、911に連絡する。
その後、ウィルが逮捕される様子が映る。
~おわり~

 

 

感想

レプタイル(爬虫類)というインパクトあるタイトルから、冒頭から誰もが怪しく思えていた。
特に、羽振りの良い麻薬課のウォーリーは、最初から怪しかった。
主人公のトムを自分の会社で働くよう誘ってみたり、女性をあてがおうとしたり、高級な時計をプレゼントしようとしたりと、トムを支配下に収めようとしているのが見え見えだった。妙に威圧的な男で、トムを見る表情も鋭く、蛇が舌を出しながら相手を見極めようとしているように感じた。

相棒の汚職を告発したことで、前の警察署で陰湿な嫌がらせを受けたトム。
ただ、警察署全体の汚職については、口を割らずにいたようだ。
そんなトムを自分の職場に受け入れた叔父アレン警部は、一見姪思いの優しい男性に思えるが、トムに恩を着せ、何かあった時は仲間に引き入れようと考えていたのだろう。
トムがサムを射殺した際も、職場復帰したトムを皆が喜んで出迎えるシーンがあった。
前職で村八分になったトムに対して狙ったパフォーマンスだろう。
アレン警部は、武勇勲章に推薦するとまで言い出し、やりすぎ感はあれど、トムと同じ立場の人間ならば素直に感動する人は多いはず。

イーライが言うように、Grady家が悪の権化で、元々はウィルの両親が悪どい方法で不動産業で成功を収め、警察署もお金で支配していくようになったと想像がつく。
ウォーリーの部下が怯えているシーン等からも、弱みを握られたり、お金で操られ、言いなりになっている警察官も多そうだ。

重苦しい展開の中、唯一の癒しは、トムの妻ジュディ。
トムを100%信じ、明るく支える妻を演じたのは、アリシア・シルヴァーストーン。
「クルーレス」の時から変わらぬ可愛らしさで、彼女のシーンだけは安心して観ていられた。



顔圧強めのベニチオ・デル・トロの苦み走った表情を最初から最後までご堪能下さい。