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マイ・ブックショップ The Bookshop

マイ・ブックショップ(字幕版)

1959年、海岸沿いの小さな町に、書店がオープンする。
オーナーは、戦争で夫を亡くしたフローレンス。
本が好きだった夫と、書店が無いこの町に書店を作ろうと夢見ていたのだった。
しかし、フローレンスが買い取った建物に、町の施設を作ろうと計画していた有力者の夫人が、彼女の書店をつぶそうと邪魔をしてくる。

以下ネタバレあり

 

The Bookshop
原作は、ペネロピ・フィッツジェラルドの同名小説。

 

映画は、スペインの映画賞であるゴヤ賞にて3部門受賞の快挙。
(第32回 作品賞、監督賞、脚色賞)

 

イギリスの小さな港町に、女性がオーナーの書店がオープンする。
時代はまだ1950年代で、女性が起業することが珍しい時代。
主人公のフローレンスは、しぶる銀行に説得を続け、古い建物の修繕も行い、無事に開店にこぎつける。
しかし、彼女の店の建物をアートセンターにしようと計画をしていた町の有力者の妻バイオレットが、建物を譲れと軽く圧をかけてくる。
町の中心的存在のバイオレットは、未亡人であるフローレンスなど軽くあしらえるだろうと考えていたのだろう。
ところが、開業を夢見て、長年準備をしていきたフローレンスは、誰にどう説得されても、建物を譲る気はゼロ。
初めて思い通りにならない町民(それも女性)が許せなかったというのが、一番の理由だったと思う。
その後、バイオレットは、弁護士経由で苦情を訴えたり、甥を使ってアートセンター設立の法案制定など画策。
アルバイトの少女の件を、関係省庁へ通報までしていた。
近所に新たな書店を開く計画まで立て、フローレンスを追い込んでいく。
バイオレットは、“女の意地!プライドを賭けた闘い!”だったのだろうが、対するフローレンスは、夫との夢の書店を純粋に大切に思っているので、売上が減ろうが、わかりやすく圧力をかけられようが、手放す気が無く純粋に自分の店を守ろうと頑張っていた。
カッとなったのは、フローレンスを支えていた町の変わり者の老紳士。
バイオレットに直接対決にいくが、引きこもり生活をしていた老紳士は頭に血が上り過ぎたのか、帰り道に倒れ、そのまま亡くなってしまう。
支えがなくなったフローレンスは、信頼していた人物にも裏切られ町を去ることに。

ハッピーエンドを予想していた私は、まさかの事態にショックを受け、船で去るフローレンスを呆然と見送ってしまったのだが、最後に、驚く展開が待っていた。

 

華氏451度〔新訳版〕

映画の中で、主人公のフローレンスが老紳士のブランディッシュにおすすめ作品として送ったのが、レイ・ブラッドベリの作品。
ブランディッシュは、この本をかなり気に入ったという設定になっていた。
この小説は、本の所持や読書が禁じられた世界での間模様を描いた作品で、タイトルの“華氏451度”というのは、紙が燃え始める温度だと説明されている。
小説を知っている人が観ると、この本が結末に関わっていることに気づくだろう。

 

【映画ロケーション】

フローレンスが浜辺で本を読むシーン。

 

フローレンスの書店

 

夫人の館