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母へ捧げる僕たちのアリア Mes frères et moi (2021)

 

引用:WOWOW

地中海に面した南仏の港町の古い公営団地に住む14歳の少年ヌール。昏睡状態にある重病の母親を自宅で介護しながら、長男のアベル、次男のモー、三男のエディという3人の兄たちとともに、ヌールも、つらく苦しい毎日を送っていた。そんなある日、教育奉仕作業の一環で学校を掃除中、聞こえてきた音楽に惹かれて、つい教室内をのぞいたヌールは、声楽家で女性講師のサラの指導の下、歌の夏季レッスンに参加するようになる。
原題/La Traviata Mes frères et moi
制作年/2021
制作国/フランス
内容時間(字幕版)/109分
ジャンル/ドラマ

以下、ロケ地など

 

自伝的作品


フランス人監督のヨアン・マンカは、イタリア人の父とスペイン人の母のもとに生まれた労働者階級出身。自分の起源である地中海移民を扱った作品を製作したと語っている。
あえて、フランスの何処かは表現せず、登場人物の言葉には訛りがないようにしたという。観る側に、どこでもあり得る出来事という設定にしたようだ。
また、監督も十代の頃に出会った教師の影響で、演劇に目覚めたという。その後、俳優、舞台演出家と経験を重ね、2012年に短編映画で監督デビューしている。

 

監督が参考にした作品

ヨアン・マンカ監督が参考にしたというのが、映画「カリビアの夜」や「醜い奴、汚い奴、悪い奴」という厳しい環境で暮らす人々を描いた作品。絶対的な悲惨な状況でも、人は生きていく、ということが共通点でしょうか。


ロケ地

ビーチのシーン

ル・グロー・ダグド Le Grau d'Agde(南仏)

 

ホテルのプール

Thalasso & Spa - La Grande Motte
モーが入り浸るプール。
ヌールがモーを呼びに行くシーンで映る。

 

お葬式のシーン

マラン・ポール・ヴァレリー・ド・セート墓地
Cimetière Marin Paul Valéry de Sète
母のお葬式のシーン

 

自宅がある街

ラ・ペラード La Peyrade(場所は特定できず)



 

ネタバレひとこと

映画「リトルダンサー」のオペラ版という設定だが、成功前の段階で映画は終わる。
主人公の14歳の少年ヌールの輝ける未来を想像しながらのエンディングとなる。
もやもや感は残れど、貧困に苦しむ家族をリアルに描いていることに意味があるのだろう。

父親がおらず、母は寝たきりの状態。4人兄弟の親戚は母の弟しかいないようだ。
学生のヌール以外は、海千山千な雰囲気の兄たち。
長男はスポーツ用品(土産品?)の仲買業者、バイセクシャルらしき次男は観光客目当てで体を売る商売の様子。いつもプールサイドで筋トレをしているという設定。
悪ぶる三男は、意外にも母に優しく、寝たきりな状態の母を女性として敬う発言も。
主人公の四男は、オペラ好きな母のために家でオペラを流しているうちに、音楽好きになったようだ。

決して見本になるような兄たちではないが、生きていくための術は学んでいる様子のヌール。どうか歌の道をまっしぐらに進んでいってもらいたい。