映画とドラマとロケ地

映画や海外ドラマの撮影地の紹介+レビュー

シルバー・スケート Серебряные коньки The Silver Skates (2020)


Netflixより抜粋
凍った川や運河を人々がスケートで往来するサンクトペテルブルクで、盗みを働いて暮らす青年と貴族の娘が出会う。愛し合う2人は運命に引き裂かれてしまうのか。

以下ネタバレ注意

 

原案

【絶版「銀のスケート ハンス・ブリンカーの物語」M.M.ドッジ 石井桃子 岩波少年文庫

原作は、アメリカ人作家メアリー・メイプス・ドッジの“Hans Brinker, or The Silver Skates”「銀のスケート ハンス・ブリンガーの物語」。
映画はロシアが舞台だが、原作は19世紀初頭のオランダが舞台になっている。
作品と映画は、内容がだいぶ違っており、あくまで原案という程度。

 

ディズニー作品

この映画の原案である児童向け小説「銀のスケート ハンス・ブリンガーの物語」は、度々映像化されている。
1962年には、ディズニーが製作した作品がテレビ映画として公開され、後1964年に劇場公開もされている。
当然、この映画とは全く違う内容。(オランダが舞台の兄妹が主人公の作品。)

 

元素周期表を作ったあの化学者が登場!

アリサの入学試験の時に遅刻して現れたユーモラスな髭の御老人は、元素周期表を作成したドミトリ・イヴァノヴィチ・メンデレーエフ(Дмитрий Иванович Менделеев)という設定!外見も似せていました。
いきなりのロシアの大物登場、漫画的で面白かったです。

 

ヒョードル・フェドートフ

主人公を演じたヒョードル・フェドートフは、当然、アイススケート歴がある俳優として抜擢されたようだ。
子供の頃はアイスホッケーのクラブチームに所属し、国際大会の出場も経験しているという。
ロシアでは有名なテレビ番組「アイス・エイジ・ショー」のシーズン8に出演し、2014年ソチオリンピック金メダリストのタチアナ・ボロソジャルとペアを組み、優勝している。




 

ロケ地

主な撮影地

主な撮影地は、サンクトペテルブルグにある凍った川や橋、運河など。
一部、レニングラード州での撮影もあった。
天然の氷の川の上での撮影もあったが、短いシーンしか撮れなかったようだ。
(ネヴァ川、リカ・フォンタンカ、モイカ川、クリュコフ運河での撮影)
撮影用に約10,000 平方メートルの川の氷を強化したという。(情報先

 

宮殿内のシーン①


Gorky House of Scientists(Дом ученых им. М. Горького)科学者の家
ウラジミール大公旧宮殿内
宮殿内のシーンは、いくつかの場所で撮影されているようだが、こちらで多く撮影されれたと言われている。
上記動画は、映画とは関係ないものです。

 

宮殿内のシーン②

大理石宮殿(Мраморный дворец)

 

通行止めの橋のシーン

ペフチェスキー・モスト Певческий мост
映画冒頭、通行止めの橋のシーン。

 

主人公がクビになった店

The department store brand clothes Au Pont Rouge Au Pont Rouge(デパート)
橋が通行止めだったため配達が遅れ、仕事をクビになった店の外観。

店を追い出されるシーンで映るドア。

 

インペリアル・スケートクラブの舞踏会

ミハイロフスキー城 Михайловский замок
このシーンの撮影が、寒くて大変だったという記事を沢山見かけた。

 

教育省外観

Muzey Tsentral'nogo Uchilishcha Tekhnicheskogo Risovaniya Barona A. L. Shtiglitsa
Музей Центрального училища технического рисования барона А. Л. Штиглица
(博物館)
入学試験を受けるために待ち合わせをしたシーン。
アリサは、馬車でレンガ色の教会の前を通り、現れる。

 

 

ネタバレあらすじ

主人公マトヴェイ
1899年12月の雪に覆われたロシア・サンクトペテルブルク
凍った運河の上にも店が並び、市場として活気づいていた。
18歳のマトヴェイは、敬虔な点灯夫である父から譲り受けた家宝の銀のスケート靴をはき、地元のパティスリーの配達員として働いていた。

大臣の娘アリサ
大臣の娘アリサは化学の道に進むのが夢だが、ロシア貴族と同様、女性は高等教育をうけないほうが幸せだと考える父親の命令で、勉強することを止められていた。
占星術等、オカルティズムに傾倒する継母は、従順ではないアリサに手を焼き、夫にアリサは結婚したほうが良いと助言する。
そんなアリサを狙うのが、野心家のトルベツコイ公爵。
アリサが亡くなった母親から受け継いだ財産を狙い、求婚してくる。

父の病気
マトヴェイは、通行止めになった橋が原因で配達時間が遅れ、店をクビになってしまう。
さらに父の病気が悪化し、医師からは重度の肺炎だと言われてしまう。
医師からは治療には多額の医療費が必要だと言われたマトヴェイは、誘われるままにアイス・ギャングと呼ばれる窃盗団に入ることに。

窃盗団での訓練
マトヴェイは、スリ特有の巧妙な窃盗技術を学んでいく。
ある日、大臣のお屋敷に落書きするよう命じられたマトヴェイは、屋敷のバルコニーでアリサと出くわし、逃走する。

インペリアル・スケートクラブの舞踏会
マトヴェイらが盗んだものの中に、インペリアル・スケートクラブの舞踏会の招待状があった。貴族からまとめて巻き上げられると考えた強盗団のリーダーのアレックスは、マトヴェイに上等な服を用意し、2人で舞踏会に忍び込む。
2人は次々に窃盗をするが、マトヴェイはアリスに見つかってしまう。
アリスは、見逃すかわりにと、マトヴェイにある取引を持ち掛ける。

入学試験
アリスは、マトヴェイをある場所に呼び出し、自分の夫のふりをしてほしいと頼む。
法律で、女性が(大学に)入学する際は、男性の親族の同意が必要となり、父親もしくは夫の同意書が必要だった。
試験官の1人だったドミトリ・メンデレーエフは、彼女の入学を後押しするが、マトヴェイが文字を書けないため、試験は不合格となる。
アリスは、自分が特権階級にいるため、一般の人の生活を理解していないことを認め、マトヴェイと心を通わせていく。

父との口論
舞踏会でひと儲けしたマトヴェイは、大金を持って帰宅するが、父はその金が不正行為で得たものだと気づき、マトヴェイのお金での治療を拒絶する。
父との口論後、マトヴェイは家を出て、窃盗団のアジトで暮らすことにする。
彼らのアジトは、凍ったフィンランド湾に遺棄されていた木造のフリゲート艦だった。

窃盗団の捜査
舞踏会での窃盗事件を機に、トルベツコイ主導での窃盗団捜査チームが作られる。
スケートを使い、逃げ足の速い窃盗団を追うため、警察側もスケートの訓練を始める。

クリスマス
クリスマスの夜、アリサは仮病を使い、クリスマスのミサへの出席を避け、マトヴェイと運河沿いをデートする。
お互いへの思いを再確認した2人だったが、バルコニーでの別れ際にキスをしようとしたマトヴェイに、アリサは結婚させられそうなのと告げる。


囮捜査
氷上の市場にいた囮警官に、窃盗団の仲間が捕まり、手錠をかけられてしまう。
リーダーのアレックスは仲間に逃げるよう指示するが、マトヴェイは彼の手錠の鎖を切り、逃走を手助けする。
二手に分かれ逃走したマトヴェイだったが、トルベツコイに追跡され捕まりそうになる。アレックスがトルベツコイの足を撃ち、何とか逃走することが出来た。
アレックスは自宅に帰るが、自分が家を空けている間に父が亡くなっていたことを知りショックを受ける。
生前の父からの言葉を思い出し、窃盗団から足を洗おうと決意し、盗みで得たお金を窃盗団に返しに行く。

フランスの魔術師の公演
同じころ、アリサは母親が主催するフランスの魔術師フーリエの公演に出席していた。
アリサは、舞台上で魔術師の種明かしをし、継母に恥をかかせる。
激怒した父は、彼女が隠し持っていた書籍を集め、全て燃やすよう命令する。
イギリス人の家庭教師は、大臣のアリサへの仕打ちにショックを受け、帰国を決意する。最後にアリサに、人のために生きるのを止め、自分の夢を追いかけるようアドバイスする。
アリスは真夜中にお屋敷を抜け出し、マトヴェイを探しに酒場へ向かう。
アレックスの恋人がアリスに気づき、窃盗団のアジトへアリスを連れてくる。
アリスは、宝石を売ったお金でパリ行きのチケットと買い、残りをマトヴェイの父の治療代にと話し、そこで初めて彼の父が亡くなったことを知る。
アリスは、マトヴェイにパリに一緒に来て欲しいと言い、2人は一夜を共にする。

警察の強襲
トルベツコイは、窃盗団の仲間を拷問し、アジトの場所を吐かせ、警官で包囲したのち船に火を放つ。
マトヴェイはアリスを連れ、逃走しようとするが、アレックスはアリスが交渉材料に使えると考え、マトヴェイを船から突き落とす。
アレックスは、トルベツコイに捕まえた仲間たちの解放と引き換えにアリスを返すと言い、トルベツコイは取引をのむ。
焼け落ちる寸前、マトヴェイは氷の海に飛び込み、アレックスは警察に胸を撃たれ、海へ落ちていく。
アリスは、トルベツコイに無理やり馬車に押し込まれてしまう。

仮面舞踏会
アリスの父親は、トルベツコイからの求婚を正式に受け、2人は結婚することに。
マトヴェイは、凍死寸前のところを助けられ、回復する。
アリスは、両親とトルベツコイと共に仮面舞踏会へ出席する。
アリスが1人でいるところに変装したマトヴェイが現れ、パリ行きのチケットを買ったと話す。
2人は会場を抜け出し急いで駅へ向かう。
マトヴェイが落としたチケットを見たトルベツコイも、2人を追い駅へ。
マトヴェイはアリスを列車に乗せ、トルベツコイと対決し、彼が持っていたチケットを奪い、列車に飛び移るが、トルベツコイに胸を撃たれ倒れこむ。
しかし、銃弾は持っていたスケートに当たり難を逃れる。

数年後
アリスの父ニコライは、ドミトリ・メンデレーエフを訪ね、娘の近況をたずねる。
ドミトリ・メンデレーエフは、アリスは女性で初めて学位が授与されると話す。ヨーロッパ中の大学が彼女を受け入れると聞かされたニコライは、ロシアの大学でも女性を受け入れられるよう、法改正をすることに。
その後アリスは、父とドミトリ・メンデレーエフが見守る中、女性クラスで化学の講義をする。
マトヴェイとアリスの間には息子が生まれ、3人で楽しそうにアイススケートをする。
~おわり~

 

 

ひとこと

Netflixのおすすめに表示され、詳細を読み、まだ観ていなかったロシア映画だと気づき、慌てて鑑賞。
2020年の作品ではありますが、私にとって今年1番のロシア映画でした。
アイススケートのアクションはスピード感満載、またロマンチックで美しいシーンも多く、見ごたえある作品です。
ロミオとジュリエットタイタニックの良いとこ取りのハッピーエンド作品。
海外の映画サイトでは好き嫌いが別れ、レビューは平均7/10程度ですが、個人的には9/10。冬のサンクトペテルブルグの街並みの美しさをプラスした評価です。