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未来を生きる君たちへ In a Better World Hævnen (2010)

未来を生きる君たちへ [Blu-ray]

WOWOWより抜粋

デンマーク人医師アントンはスーダンの難民キャンプで医療活動に従事するが、人々はギャングの大物“ビッグマン”におびえていた。同じ頃、デンマーク郊外ではアントンと別居中の妻マリアンと暮らす息子エリアスが、学校でいじめられていた。だがある日、ロンドンから来た転校生クリスチャンは刃物を手に、いじめっ子のひとりにもう手を出さないよう脅す。やがて一時帰国したアントンがある時、暴力的な男に殴られる事件が起きる。

以下ネタバレ注意

 

アカデミー賞授賞作品

第83回アカデミー賞外国語映画賞授賞作品。
ゴールデングローブ賞外国語映画賞も授賞している。

 

ロケ地

学校のシーン

Gamle Skole Rudkøbing(旧校舎)
主な撮影は、デンマーク・ルーケベングで。

 

港のサイロのシーン

クリスチャンとエリアスが登った港の大きなサイロ。
上記サイトには、2人が登ったサイロの写真が紹介されています。

 

爆破実験

確認は出来ませんが、クリスチャンとエリアスがお手製爆弾の実験をしたビーチは、このあたりではないかと思われます。
遠くにLangeland Bridgeが映り込んでいました。少し北に小さいビーチもあり、そこの可能性もあります。

 

ケニア

スーダンの難民キャンプのシーンは、ケニアでの撮影。詳細は不明です。

ねたばれあらすじ

エリアスの家族
父:アントン 難民キャンプで働くスエーデン人医師
母:マリアン デンマークで働く医師 夫の浮気が原因で別居中
長男:エリアス 12歳 いじめっ子グループから日々いじめられている。
次男:モーテン

クリスチャンの家族
父:クラウス
長男:クリスチャン 12歳 ロンドンから転校し、エリアスと同じクラスに。
母親を癌で亡くしたばかり。末期の状態でも、父から治ると聞かされていたため、ショックで心を閉ざす。

いじめっ子への報復
クリスチャンは、エリアスのいじめに巻き込まれ、顔にボールをぶつけられ鼻血が出たまま帰宅する。
いじめグループのリーダーである、ソフスの後を追い、エリアスを脅していたソフスを後ろから殴りかかる。倒れたソフスの首元にナイフを当て、自分にかまうなと脅して立ち去る。
学校に呼び出された父クラウスから、報復はきりがないと言われるが、クリスチャンは納得がいかなかった。

公園での喧嘩
エリアスの父アントンが、アフリカから帰国し、息子2人とクリスチャンを連れ、港に出かけた。エリアスの弟モーテンが、ブランコの取り合いで喧嘩になっているのを仲裁しようとしたアントンは、喧嘩相手の子供の暴力的な父親(ラース)に殴られてしまう。
アントンは、警察には届け出なかったが、納得いかないクリスチャンは、アントンの職場を突き止める。

愚か者
息子たちが、自分を殴った男を恨んでいることを知ったアントンは、息子たちとクリスチャンを連れ、男が務める自動車修理工場へ向かう。
男に面と向かい、殴った理由を尋ねるが、男はスエーデン人であるアントンを侮辱し、また殴りつける。
アントンはその場を立ち去り、子供たちに彼は暴力をふるうことしかできない愚か者だと説明、暴力に暴力で仕返しすることの無意味さを伝えようとする。
エリアスとモーテンは、父の言葉に納得するが、クリスチャンはどうしても納得できなかった。

ビッグマン
アフリカに戻ったアントンのもとに、極悪人として名高い「ビッグマン」が、足に大怪我を負い、難民キャンプに運ばれてくる。
周囲は受け入れに反対するが、医師としてビッグマンの治療にあたるアントン。
アントンは武器の持ち込みを拒否し、ビッグマンに武器か足の切断かの二択をさせ、仕方なく武器を持たずに手下2人だけを連れ、アントンに治療を頼む。
ビッグマンは、妊婦のおなかを切り裂き、胎児の性別を当てるという賭けをしているサイコパスだった。
ある日、アントンに向け、殺害された女性を貶め笑うビッグマンにアントンは激怒。ビッグマンの手下を追い出した後、ビッグマンも難民キャンプから追い出す。ビッグマンに恨みを持った人々が集まり、集団リンチをして殺害してしまう。

車の爆破計画
エリアスの父を殴った男に復讐したいと考えたクリスチャンは、亡くなった祖父の花火を見つけ、花火の火薬を使った爆弾を作り、男の仕事用の車を爆破しようと計画を立てる。エリアスは爆破計画を父に相談しようとするが、ビッグマンのことで動揺していたアントンは、息子の相談を聞く状態ではなかった。
エリアスは、クリスチャンの計画を手伝い、車に爆弾をしかけるが、ジョギング中の親子が車に近づいたため、エリアスは2人を助けようと2人が来るのを止めようとして、爆発に巻き込まれてしまう。


家出
瀕死の重症を負ったエリアスを見て、自分のしたことの重大さに気づいたクリスチャン。アフリカからアントンも急いで帰国する。クリスチャンは、エリアスの御見舞いに行こうとするが、彼の母マリアンから激しく拒絶されてしまう。自分のせいで、エリアスが死んだと勘違いしたクリスチャンは家を出て、自分も死のうと考える。
クリスチャンの父から連絡を受けたアントンは、エリアスから聞いたサイロの話を思い出し、クリスチャンのもとへ向かう。
アントンは、飛び降り自殺をしようとしていたクリスチャンに、エリアスは回復していると伝え、クリスチャンは今まで口に出せなかった母の死について語り、初めて涙する。

ラスト
クリスチャンは父とも和解し、エリアスの御見舞いに行き、友情をはぐくむ。
アントンは、妻マリアンと復縁し、アフリカへ戻る。

~おわり~

 

 

ひとこと

デンマーク語のタイトルは、直訳すると「復讐」という重い意味のタイトルになっているが、英語版は希望が持てるタイトルにしたいと考え、In a Better Worldにしたと言われている。
日本語のタイトルは、ふわっとしすぎて、内容とのギャップがありすぎる。

原題通り、内容は重い。
特に、難民キャンプ周辺での内容は、映画とはいえダメージを受けた。
戦争被害にあった難民らの治療にあたるアントンは、帰国した際、暴力的な整備士の男に意味もなく殴られるが、愚か者のすることだと怒りをコントロールし、その様子を子供たちにあえて見せていた。
しかし、アフリカに戻り、悪魔のようなビッグマンの一言に激怒し、彼を恨む人々の中にビッグマンを放り出してしまう。すぐに、ビッグマンは集団リンチで殺害されてしまう。
理想と現実、復讐と赦し等、人として色々なことを考えさせられる作品だった。

私の悩み等、世界で起きている出来事に比べたら、塵みたいなものだ。