友達に誘われヨットセーリングに出掛けたジェス(メリッサ・ジョージ)だったが、嵐に襲われヨットが転覆してしまう。運良く助かった彼らの前に大型客船が現われ、助けを求めて乗り込んでみると直前まで人がいた形跡はあるものの、なぜか人の姿がまったく見えなかった。一行が船内を探索していると、突如覆面をした人物が現われ次々に殺されていく。
以下ネタバレあり
深夜眠れず、テレビをつけたらこの映画がはじまったところだった。
うつらうつら見ようかと思ったら、案外面白くて、最後まで見届けてしまった。
予感はしていたが、救われないエンディングに、早朝から気分がどよーん。
ポイント:アイオロス神話
あの船の名前は、アイオロス号だった。
アイオロスとは
古代ギリシャのアイオリス人の始祖。
シーシュポスの父親。
シーシュポスの岩
The stone of Sisyphus (Sisyphean labor)は、日本での「賽の河原」同様に「果てしない徒労」を意味する。
自閉症の息子との生活に疲れ果てた主人公。
クルージングに誘われ、息子とともに港へ向かうが、フロントガラスにカモメが激突したことにショックを受けた息子が騒ぎ始める。
息子に気を取られた母親の運転する車は交通事故を起こし、二人とも亡くなってしまう。
事故の様子をボンヤリながめている主人公。(幽霊)
タクシー運転手(死神か?)に声をかけられ、事故現場から立ち去る。
息子のこと、自分の起こした事故のことをボンヤリ忘れたままヨットに乗り込んでいく。
そして、ヨットが転覆し、アイオロス号という船に乗り込み無限のループが始まっていく…。
映画では、既に何十回もループしていることがわかる。
(彼らを殺せというメモの枚数、無数にあるサリーの死体、ドライブ中のカモメの死骸等。)
何度も息子を自動車事故で殺してしまい、タクシーに乗り、港へ着くとリセット。
罪悪感からなのか?
それとも自閉症の息子を虐待し、事故死させてしまった罪での地獄なのか?
それとも最初に、死神(タクシー運転手に)と何か契約してしまったからなのか?
(やり直したい等)
これは永遠に続いていくのでしょうか?
彼女が救われる時はくるのでしょうか?
映画のなかで効果的に使われているのが、繰り返す物たち。繰り返されているという象徴でしょうか。
船のなかのレコード。
自宅にたどりついた主人公が目にするのが、クルクルと回りながら放水する芝生のスプリンクラー。
映画冒頭、洗濯ものを取り込む主人公が、子供用のプールに浮かぶヨットのおもちゃを拾うシーンがあります。
横倒しになっているヨットが、これからの出来事を暗示しているのでしょうか?
それとも、横倒しになったヨットのおもちゃを観て、デジャブを感じているのでしょうか?
そして海のような青い色で、絵を描く息子。海の渦のような、時計のような絵を描いています。
これも、何か意味しているのでしょうか?
ヨットに乗り込んで、うたたねしているシーンで、砂浜のカニや波打ち際を夢に見ます。
後から見直すと、既に何度目かのループだと気付かされます。
船内を見たことがある、と言ったことももちろん。
もう一回見ると、納得する出来事が色々あるようです。
監督インタビュー
ファン解説(英語)