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マンハント MANHUNT:UNABOMBER S1 全8話

謎の連続爆弾魔“ユナ・ボマー”。爆弾の入った郵便物で、次々と爆破事件を起こしているが、FBIは決定的な手がかりを掴めずに。その最後の望みをかけ、1人のプロファイラーがユナ・ボマー捜査チームに呼び出される。

 

 

#1 世紀の爆弾魔 UNABOM

ネットフリックスの最近の作品かと思いきや、2017年の作品だった。
有名な事件なので、詳細を知ることが出来るのが楽しみ。
ドラマでは、ユナ・ボマーをプロファイルしはじめた頃と、逮捕後、ユナ・ボマーのように人里離れた森の中で住んでいる現在が、交互に描かれている。
サム・ワーシントン演じる、FBIプロファイラーのジム・フィッツジェラルド捜査官は、ジェームズ・R・フィッツジェラルド氏という実在する人物をモデルにしている。
このドラマのコンサルティング・プロデューサーとして名前もありました。

ユナ・ボマーことセオドア・カジンスキー Wikipedia

ジェームズ・R・フィッツジェラルド Wikipedia (英語)

 

 J.R.フィッツジェラルド

 

#2 真偽 PURE WUDDER

1995年、フィッツはユナボマーの航空機爆破予告の真偽の見極めを命じられる。
1997年、フィッツのプロファイリングで逮捕されたユナボマーが、フィッツとの面会を要望したため、刑務所に会いに行く。

大勢の著名なプロファイラー達は、ユナボマーが知能の低いブルーワーカーだと決めつけていたが、フィッツは知能が高い人物と考え、プロファイルしていく。
(97年、実際会った、ユナボマーは知的で落ち着いた人物だった。)
成果を出したフィッツは、彼の主張通り、ユナボマーマニフェスト(論文「産業文化とその未来」)からプロファイルをする許可が下り、部屋とチームを与えらえる。

 

#3 毒樹の果実 Fruit of the Poisonous Tree

1995年、ユナボマーマニフェストに関する専門家を集めた際、言語学者のナタリーから重要なヒントをもらい、プロファイルを提出するが、読んでもらえずゴミ箱行き。
その後、再度ナタリーに会い、スラブ人の話を聞き、あることに閃く。
1997年、ユナボマーことカイジスキーと面会するが、彼に言い負かされ、無罪を勝ち取ると言われてしまう。

エピソードのタイトルになっている毒樹の果実とは、アメリカの刑事訴訟で用いられる言葉で、違法に得られた証拠から派生した二次的な証拠=証拠能力無し、と判断されてしまうというもの。カジンスキーは、フィッツのプロファイルにより逮捕され、その後の捜査で彼の山小屋から爆弾等の証拠が沢山発見されるが、そもそもフィッツのプロファイルに穴があったら?(→山小屋の証拠も証拠能力なしとみなされ→無罪)と、彼のコンプレックスをチクチク刺激しながら畳みかけてくる。

You know, the thing I find most sad about you, James, is that you can run off and live in the woods, abandoning your wife and kids, study the manifesto down to the letter, but it will not make one jot of difference to anyone. And the best that you will ever be is a feeble imitation of me.
「哀れな男だ。何がみじめかって、これから先、社会や家族から遠く離れて、森の中で声明文を隅から隅まで読んで暮らしたところで、結局君は何の考えにも至ることが出来ず、どう頑張っても私の模倣犯にしかなれないことだ。」
ポール・ベタニーが演じるカジンスキーが、独房の中から、フィッツにマウンティングしてくる場面が圧巻!

 

#4 掲載か爆破か Publish or Perish

声明文を新聞に掲載すれば、テロリストの活動を永久に停止すると新聞各社に送り付けたユナボマー。最終的な判断は、ユナボマーの対策本部を指揮するドン・アッカーマンの提案を聞いた上で、ジャネット・リノ司法長官が決断することに…。

NYタイムズ宛のユナボマーの封筒にあった、ネイサン・Rへ電話というメモは、タイムズのメールルームの実習生のメモ跡だったことが判明。
多くの時間を費やし、探してきたネイサン・Rという人物は、無関係だった!
司法長官の面会直前に知らされたアッカーマンは、追い詰められ、フィッツらの提案を司法長官に説明し、承諾をもらうことに。
ユナボマーの行動範囲であるサンフランシスコにか1か所だけワシントンポストを販売する店があり、そこで新聞を買う人物を全員追っていくという、大がかりな作戦を決行。
ユナボマーらしき人物が購入するも、途中で見失ってしまう。
結果が得られず、フィッツは解任されるが、新聞を読んだある女性が、知人に新聞を読むよう電話をかける。その人物の家のポストに書かれた名前は、Kaczinskyだった。

ユナボマーに追跡をまかれてしまうが、新聞に掲載した声明文を読んだ女性が、ユナボマーの親族らしき男性に連絡をしていた。次回は、ついに逮捕か?

 

#5 告発 Abri

新聞を読んだ女性が、義兄の手紙に似ていると夫に連絡。
2人で弁護士に相談し、弁護士経由でFBIに連絡するが、ユナボマーのタイプライターと機種が違ったため、別人だという連絡が入る。
しかし、フィッツの同僚タビーが、手紙の文面とユナボマーの声明文に共通点があると気付き、捜査チームから外されているフィッツに内密にFAXを送る…。

FAXを読んだフィッツは、ユナボマーだと確信。
タビーから教えられた住所へ向かう。
その人物は、デイビッド・カジンスキーという男性で、兄のテッドからの手紙をFBIに送っていた。
デイビッドは、フィッツを拒絶するが、彼のプロファイリングを聞き、協力することに。母親のワンダが保管していた手紙も提出する。

フィッツは、言語学者のナタリーとテッドの手紙を照らし合わせ、テッド・カジンスキー=ユナボマー、と確信する。
資料を持参し、捜査チームに乗り込むフィッツ。
しかし、フィッツに内密に資料を送ったことが原因で、タビーは捜査からはずされ、彼女から罵られる。

 

#6 テッドという人間 Ted

弟デイビッドへの手紙を書きながら、テッドの過去がフラッシュバックされていく。
優秀ゆえ、2級飛び級させられ、クラスメイトと馴染めなかったこと。
たった一人の親友も、相手に彼女が出来たことで、関係がこじれてしまう。
ハーバード大学に進学し、憧れの教授のもとで、心理実験に参加するが、実は、CIAのマインドコントロールの被験者として、人格に影響を及ぼしてしまう。

ドラマで、ハーバード大のヘンリー・マリー教授による行動心理実験の被験者だと初めて知った。
まだ17歳の少年が、ドラマのように精神的に追い詰められて、性格がゆがまないはずがない。心理学の教授なのに、その後の影響を考えなかったのだろうか?

ヘンリー・マリーWikipedia(英語)

ウィキペディアにも、この実験に関して記載がある。
ハーバード大学での実験は、1959年~1952年の3年間で、22人の学生を被験者にし、主に極度なストレス状態に陥った時の反応を測定していたらしい。
ドラマにもあったように、言葉の虐待の映像を、繰り返し見せていたという。
ドラマを観た後、検索して内容を知っただけの私も極度のストレス!(怒)
この実験は、他の映画等でも知られているMKウルトラ計画の一部であったよう。
(映画「陰謀のセオリー」や「エージェント・ウルトラ」等)

 

#7 令状 Lincorn

極秘情報をマスコミに知られてしまったFBIは、24時間以内に令状に必要な決定的な証拠が必要となる。すぐにテッド・カジンスキーを拘束出来るように、彼が住む森に大勢の捜査官が配置され、その時を待っていた。 

 

#8 判決 USA vs. Theodore J. Kaczynski

証拠排除の申し立てを却下されたテッド・カジンスキー。
フィッツは、弁護士は精神疾患を理由に弁護していくと考え
テッドに罪を認めさせようと、最後の説得にあたる。

被害者であるCharles Epstein博士の言葉に、テッドは罪の重さを感じたのだろうか?
(個人的な意訳、間違いがある可能性あり。)

Given that your victims were blinded by your bombs, may you also be blinded, by being deprived of the incredible light of the moon, the stars, the sun, the beauty of nature, for the rest of your life.
Given that your victims lost their hearing because of your bombs, may you spend the rest of your days in stony silence.
And given that your victims were maimed by your bombs, may your body be shackled with the same violence and hatred that have already imprisoned your mind.
And given that your victims were killed by your bombs, may your own death occur as you have lived In a solitary manner, without compassion or love.

爆弾で被害者が光を失ったのであれば、自然の息をのむような美しさ、月、星、太陽の輝きを見られずにいてほしい。
爆弾で耳が聞こえなくなった人がいたら、完全な沈黙の中で生きていってほしい。
爆弾で体の自由を奪われしまった人がいたら、自らの心を支配している暴力で、体を痛めつけてもらいたい。
爆弾で命を落とした人がいたら、思いやりも愛も無い孤独な中、死んでいってほしい。

テッドは、自ら罪を認め、厳重警備な刑務所に。
窓もない独房に入れられ、ようやく自分が失ったものに気づいただろうか?

 

 0:47の実際の逮捕時の様子が、ドラマとそっくりでした。
ズボンの破れ具合といい、両脇を固める捜査官の服装等も。

 

ドラマとは関係ないですが、サタデーナイトライブで、ウィル・フェレルが、カジンスキーをネタにしたものがいくつかあります。
これは、逮捕後のカジンスキーが、ハーバード大学の同窓会に出席したという設定。
他にもいくつかYoutubeで公開されています。
流石SNL! アレック・ボールドウィンのトランプネタも大好きです。

2020年、アトランタオリンピックの爆弾テロを題材にしたシーズン2が放送されたようです。
こちらは、ポール・ベタニー等のような有名俳優は見当たらず。