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第三夫人と髪飾り The Third Wife Vợ ba

第三夫人と髪飾り(字幕版)

19世紀の北ベトナム
14歳のメイは、絹で財を成した富豪のもとに、第三夫人として嫁ぐことに。
第一夫人のハは、上品で穏やかな女性で、息子が一人、第二夫人のスアンは、魅力的な女性だが、娘が三人続いたため、新たな男児の誕生を望み、第三夫人を迎い入れることになった。
メイは、男児を産んでこそ、その家の“奥様”になれると聞かされる。

 

 以下ネタバレあり

 

 

 アッシュ・メイフェア監督へのインタビュー映像。
本国ベトナムで、公開4日目で上映中止に追い込まれた理由、主人公メイを演じるグエン・フオン・チャー・ミーさんを選んだ理由、等、話をされています。

ベトナムでは、主人公の性的シーンが描かれたことに対して、主人公を演じたグエン・フオン・チャー・ミーさんと、未成年の娘をそのようなシーンがある映画に出演させたと実の母親へのバッシングが起こり、監督自ら4日で中止にしたという。

また、女性監督が描いた、ベトナムの過去の家父長制を描いた作品が世界的に注目されたことも、一部の人々のカンにさわったようだ。

 

2018年、台北金馬影展上演後の座談会の様子。
グエン・フオン・チャー・ミーさんが美しい!
ラストで髪を切る、第二夫人の娘役の女の子も!

 

映画は、14歳のメイが、絹で財を成した富豪のもとに、第三夫人として嫁いで行くシーンから始まる。
年の離れた第一・第二夫人は、いじめなどは一切せず第三夫人になったメイを優しく受け入れてくれた。
第一夫人には一人息子、第二夫人には3人の娘がいた。
夫の父親である家長は、跡取りである男の孫だけを可愛がっている。
メイは、後継ぎである男児を産んで、初めて“奥様”になれることを知る。

ある日、偶然メイは第二夫人と第一夫人の息子があいびきしているのを目撃してしまう。
(第二夫人は、娘しか産めず、“正式な奥様にはなれない”という自分の立場を憂い、第一夫人の息子を誘惑した可能性等、憶測が感じられるシーン。)

その息子に、ある日結婚話が持ち上がる。
息子は、第二夫人を愛しているため、顔も知らない相手とは結婚できないと抵抗するが、祖父の意見は絶対で、嫌々ながらも結婚することになる。

メイがついに出産の日を迎える。出産したのは女の子だった。

新妻を拒絶する長男を見た祖父と父親は、新妻の父親を呼び出し、まだ、関係は持っておらず、慰謝料になる品も準備していると話すが、新妻の父親は、娘を罵倒し、新妻は自ら命を絶ってしまう。
メイは産まれたばかりの娘を抱きながら、自殺をした長男の新妻の葬儀をただ見つめていた。

娘を連れ、屋敷を出て、歩き出すメイ。
泣いている娘に授乳をするため、野に座ると、そこに毒があるという黄色い花が…。
その花を摘み、娘の顔に近づける。

ラストシーン
将来、男になれますようにと願っていた第二夫人の娘が切り落とした髪を川に流し、カメラを見つめるシーンで、映画が終わる。


メイは、あのシーンのあと娘に黄色い花を食べさせ、殺してしまうのだろうか?
それとも、自分が食べて死んでしまうのだろうか?
その先は、描かれていないが、予想をさせる結末だった。

女性は、後継ぎの男児を産む道具、娘は、将来嫁いで行く、嫁ぎ先のもの。
家族会議は男だけ、中でも家長の意見が絶対という、極端な男尊女卑の世界で、我慢して生きてきた女性たち。

 

82年生まれ、キム・ジヨン

韓国でも、「82年生まれ、キム・ジヨン」という男女の不平等を描いた小説が、社会現象となった。
「これは私の物語だ」と韓国の女性たちから大反響だったという。
アジアに根深く残る、男尊女卑はいつになったら消えるのだろう?