映画とドラマとロケ地

映画や海外ドラマの撮影地の紹介+レビュー

アンテベラム Antebellum (2020)

アンテベラム(字幕版)

1861年アメリカのルイジアナ州にある農園で、奴隷として重労働を強いられているエデンは、仲間と脱走を企てていた。
150年以上経った現代のシーンでは、社会学者で人気作家のヴェロニカ・ヘンリーは、ニューオーリンズでの出版イベント後、友人らとディナーを楽しんでいた。友人と別れてタクシーに乗り込んだヴェロニカは、口をふさがれ意識を失う…。

以下ネタバレ注意

 

ロケ地 エバーグリーン・プランテーション

Evergreen Plantation
1790年建設、1832年グリークリバイバル様式に改装される。プランテーションでは、主にサトウキビが収穫され、奴隷解放時までアフリカ系アメリカ人らが働かされていた。

 

監督の悪夢がきっかけ

この映画は、ジェラルド・ブッシュ監督が、パートナーのクリストファー・レンツ監督と2017年にロサンゼルスに引っ越した直後に見た悪夢がベースになっているそうです。ある女性が必死に助けを求めて叫んでおり、トラウマになるほどの悪夢で、 次元を超えているように感じたと語っている。

 

映画「風と共に去りぬ」で使われたレンズ

農園のシーンでは、南北戦争下のアトランタを背景にした名作「風と共に去りぬ」の撮影で使われたレンズで撮影されたという。監督らが、そのレンズでの撮影に固執したため、入手するまで大変だったようだ。

 

血と土(ネタバレ注意)

映画が始まってから約20分頃、兵士らがたいまつを持って「Blood and soil」と言いながら行進してくるシーンがある。
2017年8月に起きたヴァージニア州シャーロッツヴィルでの事件を基にしていると言われている。南北戦争南部連合の軍を率いたロバート・E・リー将軍銅像撤去をめぐり、白人至上主義者たちが抗議集会を行っていた際、ナチスのスローガンである「Blut und Boden」を訳した言葉である「Blood and soil」という言葉を叫んでいたという。
このことから、”行進シーン⇒南北戦争より後の時代⇒現代のアメリカ?”、というヒントが与えられている。

 

ひとこと

南北戦争時代を描いた作品は、怖いシーンが多いため、あまり好きではないのだが、どんでん返しがあると知り、恐る恐るWOWOWで鑑賞した。
まさかのナイト・シャマラン監督の「ヴィレッジ」な設定で、残念ながらからくりに気づいてしまった。

上記に紹介したシャーロッツヴィル事件のように、アメリカにはヘイト思想が今なお根深く残っている。映画のような出来事が起こるわけはないが、一部憧れる人がいそうで怖い。

映画としては面白い作品だが、怖いので、観返すことはないだろう。