1950年代のイタリア南部が舞台。貧しい島に暮らすマリオは、日々の暮らしにうんざりしていた。彼は、郵便局の臨時配達員に採用され、共産思想弾圧によってチリから亡命してきた詩人のパブロ・ネルーダのもとへ毎日手紙を届けることになった。著名なパブロと親しくなりたくて、毎日話しかけているうちにパブロもマリオの純粋な人柄に惹かれ、次第に仲良くなっていく。パブロから詩の隠喩について教えて貰ったマリオは、全てのものは隠喩で表現できると夢中になる。ある日、マリオはバールで働くベアトリーチェに一目惚れをする。パブロに応援され、マリオは彼女への思いをロマンティックな隠喩にして伝え、彼女に思いが通じる。二人はパブロを立会人として結婚式をあげる。式の最中にパブロの国外追放が解けたという知らせが入り、パブロは島を去ってしまう。手紙を書くと約束をしたパブロだが、音沙汰なしの状況にマリオは島の波や風を録音したテープを作りはじめる。
君の微笑みは蝶のように顔に広がる
君の微笑みはまるで薔薇
するどい槍 あふれでる水
君の微笑みは押し寄せる銀の波だ
マッシモの遺作となってしまったこの作品。
最初は、マリオに対して良い印象はないのだが、パブロから隠喩について教えて貰い「世界はすべて何かのメタフォー(隠喩)になっているのか?」と考え始めるところからは、もう彼の親友のような気持ちになっていて、励ましながら観ていた。
詩人になりたいものはシチリアへ行けというイタリアの諺があるそうだが、この映画の美しい島、綺麗な色の街並み、岩壁からの青い青い海を見ているとマリオでなくても詩をくちずさんでしまいそうな気がする。
静かに話しは進んでいくのだが、観終ってからの余韻がものすごく強かった。
映画の盛り上がる感動のシーンで涙が出るのは普通だけれどもエンドロールになるころからじわじわじわっと涙が出てきて、映画が終わってから号泣していた。イタリア映画でベスト1!と断言します。
【映画ロケーション】
映画に登場するバー
郵便局