Amazonより
農林水産省官房企画官という身分を隠しながら、日本各地の農家の本音を聞いて回る大宮金次郎(陣内孝則)。
そんな彼に大分県臼杵市役所の農政局長として、省が開発した農薬を普及させよとの辞令が下る。
着任早々、無農薬栽培に切り替えた旧知のお茶農家の主人・森川修造(柄本明)と農業話で盛り上がるが、その翌日に彼が心臓発作で入院。
孫娘みのり(田中麗奈)が修造の代わりを努めようとするが、農業のノウハウなど何も知らずに途方にくれる。
以下ネタバレあり
素晴らしい日本映画を久々に観た。
ハリウッド映画や海外ドラマの二番煎じのような作品が多い昨今、こんな素敵な作品もあるのだなと、感動した。
最先端のCGアクション大作など、日本人はあまり求めていないはず。
(どんなに頑張っても所詮、ハリウッド作品のスケールには負ける!)
日本人の心に響く、こんな作品を待っていた。
ストーリーはともかく、キャスティングが素晴らしい。
実は、陣内孝則さん、癖がある話し方やオーバーアクションのイメージがあり、バラエティ寄りの俳優さんだと思っていたが、今回の役に見事にはまっていた。
二つの顔を持つ“金ちゃん”を見事に演じ分け、コミカルかつ、感動も。
普段よりかなり痩せられていたが、役のためにダイエットされていたようだ。
痩せたことで、若々しい“金ちゃん”役が、さらにはまったのだと思う。
また、役所で働く吉沢悠さんも、当たり役だった。
金ちゃんに強く当たり過ぎ、とも思ったが、仕事でのうっ憤等もあってのことだと思うと納得。
田舎の役所の真面目な青年がぴったりだった。
現実には、こんなに上手くいくことは無いとも思う。
けれども、挫折し行くあてがない時でも、新しいものに挑戦していこうという勇気をくれる作品だと思う。
また、茶畑の緑の景色が美しい。
青葉が観る人を癒してくれるような気がする。
都会暮らしの人には、田舎暮らしの密接さが苦手な人が多いだろうが、人が集まって協力しあって生きていく狭い社会も、良い勉強になると思う。
監督は、映画の舞台でもある大分県臼杵市出身の塩屋俊。
残念なことに、今月5日、急性大動脈解離のため仙台市の病院でお亡くなりになられた。
ご冥福をお祈りいたします。