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ずっとお城で暮らしてる We have always lived in the castle (2018)

We Have Always Lived In The Castle [DVD]

18歳のメリキャットは、姉コンスタンスと車いすの伯父ジュリアンと3人と、山の上の豪邸に暮らしていた。
同じ村の住民たちからは忌み嫌われており、メリキャットは魔法やおまじないで現実逃避をして、心を鎮めていた。
ある日、姉妹のいとこチャールズが現れ、しばらく屋敷に滞在することになる。
コンスタンスは彼と親しくなっていくが、メリキャットは彼と対立するようになっていく。

以下ネタバレあり

 

ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫)

原作は、1962年のS・ジャクソンの同名小説「ずっとお城で暮らしてる」。
映画は、ほぼ原作通りに作られている。

 

【映画ロケーション】  

ブラックウッド家:Kilbride Monor アイルランド
原作では、アメリカのバーモンド州が舞台で、登場人物もアメリカ人だが、ゴシック要素を求め、アイルランドでの撮影になったという。

 

がメリキャットが買い物に行くシーン:Enniskerry(ウイックロー州の村)
鐘がなるシーンで映る時計台

 

図書館の建物

 

コーヒーショップ

 

(感想)
最近多い、“観た人それぞれの解釈で…”という点が多い作品だった。
謎が謎を呼び、未だにはっきりとした答えが出ない。

まずは、

(事実)
・6年前、12歳だった次女メリキャットが、砂糖にヒ素を入れ家族を殺害。
 姉のコンスタンスが、砂糖を使わないのを知っての行動。(姉だけ助けた)
 メリキャット自身は、(理由は不明だが)食事抜きの罰で、部屋にいた。
 おじだけ助かるが、車椅子生活になり、2人と同居している。
・事件後、コンスタンスが容疑者として逮捕されるが、無罪に。
・コンスタンスは、家の敷地内から6年間出ていない。家事とおじの世話係。
・メリキャットが、買い物担当。図書館で本も借りている。
・いとこのチャールズ・ブラックウッドが、金目当てにアメリカからやってくる。
・村人たちは、ブラックウッド家を憎んでいる。
 若者や子供達は、メリキャットが村に来ると、容赦なく罵倒し続ける。

(推測)
・メリキャットは、18歳だが、事件が原因なのか元々なのか、精神年齢が低い。
・次女メリキャットは、裕福なブラックウッド家にとって異質で、親に理解されていなかった?
 夕食の罰はどんな理由で?(土に埋めたりする、独自のおまじないが原因?)
・姉コンスタンスは、妹メリキャットの唯一の味方だった。
 (ヒ素はメリキャットが入れたとわかっても、警察に言わなかった。)
・チャールズは、賭け事のお金で赤いスポーツカーを購入。
 賭け事→借金→ブラックウッド家の資産を手に入れたい。
・村一番のお金持ちであるブラックウッド家は、村人にとってあくどいと感じられる金儲けをしていたのではないか?(例:高利貸等)

・両親が死んでもなお、娘2人+おじで、暮らしていける資産があることも村人にとってやっかみたくなるところ。(親を殺した後も悠々と豪邸に住み続けている。)

 

恐かったのは、両親が現れるシーン。
愛情深いことを言っているが、気持ちがこもっておらず、無表情に近い。
「欲しいものは何でも。私たちの最愛の娘ですから。愛している。罰など与えていない。」
両親は、メリキャットに対して、ずっとそんな表情だったのか?
言葉と逆に、両親はメリキャットを愛さず、罰を与えてきたのだろう。
そう思えたのは、メリキャットがチャールズから暴力を振るわれるシーンで、メリキャットが何度も「お父さん!」と叫んでいるところ。
ブラックウッド家の主として君臨すべく、彼女らの父の服を着て、父の寝室で眠るようになったチャールズから暴力を受け、過去に父に虐待されていた記憶が蘇ったのではないか。
おまじないのようなことも、虐待からの逃避だったのか?とも思えてくる。

 

(火事)
姉のコンスタンスが、チャールズと親しくなるにつれ、チャールズは、自分を嫌うメリキャットと対立し、罰を与えようとする。
おじに出ていけと言われても、ここに残ると言い、主になったつもりでいた。
カッとしたメリキャットは、チャールズのパイプをゴミ箱に入れ火事を起こしてしまう。
煙が出ると、何故か1人で車で逃げていくチャールズ。
おじのジュリアンは部屋から出てこず、そのまま亡くなってしまう。
消防隊が駆けつけ、消火活動はするものの、村人たちは日ごろの恨みからかブラックウッド家に入り、窓を割ったり、家具を壊したりと暴動を起こしてしまう。
しかし後日、反省した村人たちが、お詫びの食事をブラックウッド家の前に置くようになる。
その後、性懲りもなくチャールズも戻ってくる。
チャールズを信用しなくなったコンスタンスに、力ずくで説得しようとするが、彼の頭に、メリキャットがスノードームを振り下ろす。(チャールズの死体を庭に埋め、彼の車を隠す2人。)

 

(ラスト)
ブラックウッド家(メリキャット)を罵りにきた少年二人。
いつものように罵倒し続けるが、意を決し、メリキャットが扉を開けると驚いた2人は逃げ帰っていく。
「子供を食べてみたい」I wonder if I could eat a child if I had the chance.
と言うメリキャットに
「料理できるかしら」I doubt that I could cook one.
と答えるコンスタンス。
コンスタンスに愛していると言われ、ラストでようやく笑顔を見せるメリキャット。
~Fin~

 

最後までわからなかったのは、おじのジュリアンが言っていた「メリキャットは死んだ」という発言。
ジュリアンは、ヒ素の後遺症のようなことで、意識障害のようなものがあったのだろうか?
いきなり、ここで、実は幽霊でした!と言われたらどうしよう!と思ってしまいました。

最後の“子供を食べてみたい”発言は、メリキャットのブラックジョークと受け取ればよいですよね?

 

「ホワイトカラー」でひとめぼれしたアレクサンドラ・ダダリオ。
瞳が宝石のように美しい!