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ザ・ゴールドフィンチ The Goldfinch (2019)

ザ・ゴールドフィンチ(字幕版)

13歳の少年テオは、メトロポリタン美術館で爆破テロに遭い、一緒に来ていた母を亡くしてしまう。
無事だったテオは、ある老人から指輪と共にカレル・ファブリティウスの絵画『ゴシキヒワ』(The Goldfinch)を託される。
その後、裕福な同級生アンディの家に保護され、家族らにも受け入れられてきたところで、行方不明だったアルコール依存症の父が迎えに来てしまう。

以下ネタバレあり

 

The Goldfinch

原作は、ドナ・タートの同名小説。2014年度ピューリッツァー賞受賞作品。

 

【映画ロケーション】

 ホバート&ブラックウェル:Via Della Pace NYのイタリアンレストラン

 

 バーバー家(タクシーでの別れのシーン):The Beekman, 575 Park Avenue

 

映画館: Village East by Angelika

 

ボリスと再会するきっかけになった店:Holiday Cocktail Lounge

 

アムステルダム スキポール空港

 

(あらすじ)※ネタバレあり

主人公:テオドア・“テオ”・デッカー(13歳)
父:ラリー・デッカー 元俳優 ギャンブルとアルコール依存症 居場所不明
母:オードリー・デッカー テオと2人暮らし 美術鑑賞好き

爆破テロ事件
タバコの件で、母が学校に呼び出されるが、予定の時間まで時間があり、テオと母は、メトロポリタン美術館へ行くことに。
母と館内で別行動の直後、爆破テロ事件が発生。
テオは無事だったが、母は亡くなってしまう。
テオは、近くにいた男性から、名画「ゴシキヒワ」と指輪を託される。
テオの苦悩:
⇒学校に呼び出がなければ、美術館へ行くことも無かった。⇒母は死なずにすんだ。
⇒館内で見かけた少女と仲良くなりたい⇒母と別行動⇒母だけ亡くなる。

バーバー(Barbour)家
孤児になったテオは、一次的に、同級生アンディ・バーバーの家に滞在。
アンディの母、サマンサは、絵が好きなテオに好印象。
さらに、息子アンディと仲良さそうな様子を見て、テオを受け入れる。

ホバート&ブラックウェル
テオは、美術館にいた男性に託された指輪を持ち、ある骨とう品店へ行く。
店主は、ジェームズ・ホバート(通称ホビー)と男性で、テオから指輪を受け取ると、テオを店の中に案内する。
指輪の持ち主の男性が一緒にいた少女ピッパは、ボビーが後見人となり、ボビーのもとで療養をしていた。(頭部負傷で、記憶喪失に。)
その後、ボビーの店に通うが、「ゴシキヒワ」のことはあえて伝えず。

父現る
バーバー家が避暑地に行くことになり、テオも誘われるが、突然、父のラリー・デッカーが、テオを引き取りに現れる。
テオは、NYを離れ、ラスベガスへ。

ラスベガスでの生活
アルコールとギャンブル依存症の父と、母親には到底向かない娼婦のザンドラ。
転校先の学校で、少し陰のあるボリス・パヴリコフスキという移民の少年と親しくなる。
(酒やドラッグを覚える。⇒酔った際、ボリスに絵の話を。⇒ボリスが絵を盗む。)

父の目的
父は、テオにお金が必要な状況について熱弁する。
テオが、つい「口座のお金が必要なら…」と言ったとたんに、父の態度が豹変する。
嫌がるテオを叩き、テオ自身が弁護士へ電話をするように命令する。
テオが、私立学校への学費が必要だと弁護士に電話をすると、529プラン(学資のためだけに設けられた公的貯蓄制度)のために、口座から直接学校へ振り込まれる仕組みになっていると説明される。
また、弁護士から、テオの社会保険番号を知る何者かが、母がテオに残した財産を2度引き落とそうとする形跡があったが、心当たりがあるか?と尋ねられる。
テオは、父を前に「心当たりはない」と言い、電話を切るが、その瞬間父が騒ぎ出し、テオは家から逃げだし、ボリスに相談する。

父の死
父は、テオのお金を引き出せないことを知り、自暴自棄になったのか、飲酒運転の末、事故死。
テオは、バスに乗りNYへ戻ることに。ボリスが後を追うと言い、別れる。
テオの苦悩:
⇒母の死⇒遺産を得る⇒父、金目当てに接近⇒財産は教育費のみ利用可⇒父死す

優秀なセールスマン
大学を出たテオは、ボビーのビジネスパートナーに。
ホビーが修復したアンティーク家具を高額で売買する仕事につき成功を収めていた。

バーバー家との再会
NYの街中で、バーバー家の長男プラットに声をかけられる。
プラットから、父チャンスが躁うつ病を患っていたこと、船の事故で、父とアンディが亡くなったことを知らされ、ショックを受けるテオ。
その後、久々にバーバー家を訪れる。
バーバー夫人(サマンサ)がテオとの再会を喜び、その後、キットシーらの妹弟らとも再会する。
その後、バーバー家の長女キットシーと婚約する。

ゴシキヒワに関するニュース
テオから偽物のアンティーク家具を売られたことを根に持つアート・コレクターのルシウス・リーヴから、マイアミの犯罪組織が「ゴシキヒワ」を担保にし、麻薬取引をしており、FBIが捜査していることを聞かされる。
テオが、「ゴシキヒワ」を盗んだと確信しているリーヴ氏は、テオに「ゴシキヒワ」を譲れと脅してくる。

キットシーの浮気
偶然にもキットシーの浮気現場を目撃したテオ。
キットシーに追及するが、彼女はテオが母のお気に入りだからとテオと婚約したと説明。

失恋
キットシーと婚約したとはいえ、ピッパへの思いを断ち切れずにいた。
テオは、再会したピッパに告白するが、ピッパは同じテロ事件の犠牲者で、心に傷を持つ同志では上手くいかないと答える。

ボリスとの再会
ピッパにフラれてヤケになったテオは、ドラッグを買うためにとあるバーへ。
そこで、偶然ボリスと再会する。
移民であるボリスを思い、大学でロシア語を学んだとテオから聞かされたボリスは、ボリスはテオが持っていた『ゴシキヒワ』を偽物と入れ替えたと告白。
ニュースになっていた、マイアミでの事件のきっかけを作ったのは自分だと明かす。
急いで倉庫へ向かったテオは、ボリスの言う通り、絵がすり替えられたことを知る。

ボビーへの告白
アートコレクターのルシウス・リーヴは、ボビーの店に行き、テオの秘密を話す。
ボビーから質問されたテオは、真実を話す。
ボビーから、『ゴシキヒワ』がファブリティウスの遺作であり、長い間、絵の価値がわかる人々の手に受け継がれてきた作品だと聞かされ、真摯に謝罪する。

アムステルダム
テオは、キットシーに別れを告げ、絵の奪還のため、ボリスとともにアムステルダムへ向かう。
テオは、大富豪のアメリカ実業家に扮し、絵を取り戻すことに成功するが、すぐに組織にばれ襲撃され、絵を持ち去られてしまう。
ボリスは銃で撃たれ、テオは身を守るために、組織の男を銃殺し、滞在先のホテルへ戻る。

自殺未遂
絵は奪われ、人を殺し、追い詰められたテオは、遺書を用意して服毒自殺を図った。
その後、ボリスがテオを救出、自殺は未遂に終わる。
「ゴシキヒワ」は、ボリスの活躍により、警察によって救出されたことを知らされる。
他にも盗難されたレンブラントの絵画等が発見されたという。
ボリスは、自分たちは悪いことをしたが、悪から善が生まれると言い、2人が何もしていなかったら、絵は行方不明のまま。
自分たちは大きな嵐に吹き飛ばされる運命だったのかもしれないと自分を責め続けるテオに、語りかけていく。
テオの苦悩が、ボリスの言葉で、浄化されていく。

ラスト
母と美術館へ行った時の様子がフラッシュバックされる。
「ゴシキヒワ」は、母も大好きな作品だった。
苦悩から解放されたテオは、穏やかな表情でボビーやサマンサのもとへ。
~終~

 

原作と比べると、物足りないと思う人が多いようだ。
確かに、全4巻の原作を2時間程度にまとめようとするので、省かれる部分が出てくるため、説明不足が否めない。
だが、キャスティングは素晴らしかったと思う。
また、見直すたびに発見があり、じわじわと良さが伝わってくる習作。

 8.5/10点
是非、原作を読んでみようと思う。