映画プロデューサーのチャンシルは、映画をこよなく愛し、仕事一筋に生きてきた。だが、長年コンビを組んできた映画監督が打ち上げ宴会中に急死、ほとんど彼の専属だったチャンシルも仕事を失ってしまう。ふと気が付けば、独身アラフォーで仕事もなし、家族もなし、金もなしと何も持たないことに愕然とするチャンシル。とある老婦人の家に下宿した彼女は、知り合いの女優の家政婦として働きながら新たな生活を始めるのだが……。
以下、ロケ地紹介とネタバレ感想
【映画ロケーション】
チャンシルが引っ越してきた家:弘済洞 ケミ村
路上美術館(壁画)として有名 チャンシルの家の向かいにブタの絵が見える。
印象的なひまわりの壁画 チャンシルの引っ越し先のはす向かい(下)
白いランニングシャツ姿のレスリー・チャン(幽霊)とすれ違うシーン
Itaewon Bugundang Historical Park 이태원부군당 역사공원
名匠ホン・サンス監督作品等で活躍した女性プロデューサーのキム・チョヒが、実体験を反映させて描いた長編映画デビュー作。
(感想)
大げさなドタバタはなく、優しく穏やかなコメディ作品。
突然、仕事を失ったアラフォー独身女性が主人公だが、必死に職探しをして挫折を味わう、というようなよくある展開ではなく、身の丈にあった生活に切り替えていくところに共感が持てた。
引っ越し先は、坂の上にある老婦人の家。下宿人として、老婦人と一緒に生活をしていく。
未就学者のため字が読めない老婦人のために、字を教えてあげたり、一緒にもやしのひげ取りをしてみたり。
そんな下宿先に、俳優のレスリー・チャン(2003年没)の幽霊が現れる。
何故か白いタンクトップ姿で、外見は全く似ていないが、主人公のチャンシルにしか見えない幽霊という設定。
全く怖くない存在で、チャンシルを見守ってくれている。
チャンシルを心配した年下の女優ソフィーが、チャンシルを家政婦として雇い、フランス語の家庭教師で、自主映画監督の男性に引き合わせてみたり。
残念ながら、彼にはフラれてしまうのだが、悲壮感はない。
勝手な印象だが、益田ミリさんの作品を思い出していた。
日本人には嬉しい小津安二郎監督作品をオマージュしたシーンも。
キム・チョヒ監督自体が、小津安二郎監督のファンだという。
小津作品のように、何気ない日常こそが、かけがえのないものだというテーマのようだ。
同じ年代の女性に是非見て欲しい。
益田ミリさん作品のファンの方や、かもめ食堂のような作品が好きな方から感想を聞いてみたい。
ミュージックビデオ ほのぼのします。