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聖なる証 The Wonder(2022)

Netflixより抜粋
時は1862年。過去の悲しみにとらわれた英国人看護師が、ある調査でアイルランドの人里離れた村へ。そこには、一切食事をしていないはずなのに奇跡的に生き続けている少女がいた。

以下ネタバレ注意

 

原作

The Wonder

アイルランド系カナダ人作家のエマ・ドナヒューの同名小説。
Scotiabank Giller Prize(文学賞)の最終選考に残った作品。

 

19世紀の断食少女

19世紀後半、主にイギリスやアイルランドで、”断食少女”と呼ばれる食事をしなくても生きられるという聖なる少女らが世間をにぎわしていた。
神から祝福を受けた聖なる存在としてあがめられたり、超能力や魔法使いのような存在として注目されたようだ。
いわゆる“断食詐欺”なのだが、実際、サラ・ジェイコブという少女は、断食を証明するために、何度も監視をされ、最終的に餓死するという事件が起こる。監視をしていた看護師が、飲みものを与えるべきだと訴えても、両親が拒んだことから、サラの死後、両親は過失致死罪で起訴され、有罪判決を受けている。
作者はあくまで、架空の話として描き、結末をハッピーエンドに変えている。

 

ロケ地 アイルランド

撮影裏側の写真が紹介されている記事。(英語)

主に、アイルランドのダブリンや、ウィックロー州(メインの村)で撮影されている。

 

ローダナム

主人公のリブが、寝る前に飲んでいるものは、ローダナムというアヘンチンキ。
リブは、安眠のために飲んでいたようだが、現在では、麻薬、劇薬指定されている。

 

あらすじ(ネタバレ注意)

断食少女の監視
1862年クリミア戦争に従軍したイギリス人看護師のエリザベス・"リブ"・ライトは、あるアイルランドの田舎の村での仕事を得る。
仕事の内容は、最初の聖体拝領から 4 か月間何も食べていないというアンナ・オドネルという少女を監視するというもの。
修道女シスター・マイケルと共に、4か月間少女の自宅での監視を続け、最終的に地元の評議会に調査結果を報告するよう命じられる。

オドネル家
父:マラシー
母:ロザリーン
姉:キティ
兄:(原因不明の病気で死亡)
妹:アンナ(次女)断食を続ける少女

ウィリアム・バーン
地元出身のDaily Telegraphに勤めるジャーナリスト。
アンナの断食は、裏があると信じ、取材を続けている。
彼の家族は、彼が寄宿学校に行っている間に、アイルランドの大飢饉で餓死していた。

断食の理由
リブは、母親がアンナにおやすみのキスをする際に、食べ物を口移ししていることに気づき、家族に対しアンナに触れることを禁じたことで、アンナの状態は悪化していく。
アンナは、”自分の命を犠牲にすることで亡くなった兄の魂が解放出来る”と信じていた。
リブは、評議会に事実を報告するが、誰もリブの説明を信じようとしなかった。
リブは、母親にキス(口移し)を再開するよう頼むが、母親はアンナが神聖な死を迎え、兄と2人で天国へ行くのだと言い、拒否。
アンナには、死が迫っていた。

生まれ変わる
リブは、ウィリアムに手伝ってもらい、アンナを救出する計画を立てる。
オドネル家が、ミサに参加している間、リブは死にかけているアンナを聖なる井戸に連れて行き「”アンナ”は死ぬが、”ナン”という新しい少女として生まれ変わる。」と話す。
彼女が意識を失った後に、目覚めた時に、リブは復活した”ナン”に食事をとらせる。
リブは、アンナの自宅に火を放ち、家を全焼させる。

新たな家族に
リブは、評議会に対し、アンナの死は自然死であり、火事はあくまで事故だったと説明。アンナの遺体が発見されていないことから、評議会はリブへの給与を払わずに雇用を終了する。
ダブリンでリブは、ウィリアムとナン(アンナ)と再会。偽名を使い、両親と娘の3人家族を装い、シドニーに向けて出航する。

~おわり~

 

 

ひとこと

少女は奇跡なのか、それとも詐欺なのか?児童虐待なのか?
最初は、お金目的の両親のために、健気に演じているのだと思っていたが、断食の理由を知ってからは、闇が深まっていく。

映像の美しさや音楽なども素晴らしく、重厚感ある作品。
これぞ正統派。

Ciarán Hinds
あごが無い人は苦手なのだが、あごが垂れきっていても、かっこいいと思えたのはキアランが初めて。いけおじ。