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眠りの地 The Burial (2023)

眠りの地

映画.comより抜粋

葬儀社を営むジェレマイア・オキーフは、代々続く家業を巨大企業ローウェン・グループの攻撃から守るために訴訟を起こすことを決意し、カリスマ弁護士ウィリー・E・ゲイリーを雇う。正反対の性格の2人だったが、企業の腐敗や人種的不公正をともに暴いていくうちに絆が芽生え始める。

以下ネタバレ注意

 

実話

The New Yorkerの記者Jonathan Harr氏が1999年に書いた、弁護士のWillie E. Gary氏と彼のクライアントである Jeremiah Joseph O'Keefe氏による、Loewen funeral companyに対する訴訟に関する(上記)記事を基に作られた作品だと言われている。

 

カメオ出演

エンドクレジットの途中で、本物のウィリー・E・ゲイリーがカメオ出演しているので、エンドロール中もお見逃しなく!

 

ロケ地 ニューオリンズ

Virgin Hotels New Orleans
映画の舞台はミシシッピ州ジャクソンだが、撮影はルイジアナ州ニューオーリンズで行われたと言う。
出演者やスタッフは、上記ホテルVirgin Hotels New Orleansに滞在していたようだ。

 

ネタバレあらすじ

オキーフ葬儀場
オーナー:ジェレマイア・ジョセフ・オキーフ
事業拡大で財政難になり、事業の一部を売却せざるを得ない状況になる。
オキーフは弁護士に勧められ、大手葬儀会社ローウェン・グループのオーナーであるレイモンド・ローウェンと契約を結ぶが、約束の金額が入金されず、オキーフの会社は破産に追い込まれていく。
ハル・ドキンス弁護士は、ローウェンが意図的にオキーフの会社を破産に追い込み、会社を奪おうとしているのではと示唆する。

ウィリー・E・ゲイリー弁護士
オキーフは、ローウェンの会社に訴訟を起こすが、黒人の陪審員が多い地域での裁判には黒人の弁護士が必要だと考え、無敗の傷害弁護士ウィリー・E・ゲイリーを雇うことにする。彼は、長年オキーフの弁護士をつとめた白人のマイク・オールレッドの和解案を退け、和解金を1億ドルに引き上げると言い放つ。
ローウェン側も、Mame Downes率いる黒人弁護団を雇うことにする。

裁判開始
法廷では、相手側弁護士からオキーフの人格を疑問視され、オキーフは追い詰められてしまう。オキーフはゲイリーと揉め、主任弁護士をゲイリーからオールレッドに替える。
ハルは、ローウェンの会社が少数派コミュニティから葬儀費用を過大請求していることを知る貴重な証人を得て証言してもらうが、相手側の弁護士から主任弁護士のオールレッドの祖父がKKKのメンバーだったことを公表され、オキーフ側の弁護団は分裂してしまう。

訴訟取り下げ
長年の友人である弁護士オールレッドが弁護団から離れ、裁判もローウェン側が有利に進んでいき、オキーフは訴訟の取り下げを決断する。
しかし、ハルからの連絡で、国立バプテスト教会に関連するローウェン・グループの悪どい商売が発覚したことで、訴訟の取り下げを止め、裁判を続けることにする。

ラスト
裁判では、ローウェン葬儀社が、バプテスト教会員を利用し黒人コミュニティのメンバーに対し不当に高額な契約をしていたことが明らかになる。
さらに、レイモンド・ローウェンは、法廷でこの事実を突きつけられても、全く反省する様子が無いため、陪審オキーフ側に有利に傾く。
ローウェンに対し、賠償金1憶ドル+懲罰的損害賠償4億ドルの合計5億ドルの損害賠償支払いを命じる判決が下される。
~おわり~

 

ひとこと

映画後半、バプテスト教会員らに対する詐欺まがいの商売に関する証言をするRuben Soames氏の言葉が心に響いてくる。
"history of Black people in the South, history of Black people in America of our slave ancestors, it’s all buried everywhere out here. Deep underground."

(意訳)「南部の黒人の歴史、アメリカの黒人の歴史、奴隷だった私たちの祖先はこの土地に埋もれている。地下深くに。」
と語り始める。

奴隷たちは石碑を買えるわけがなく、大地にただ埋葬するしかなかった。
何もない大地に見える土地の下には、大勢の黒人奴隷たちの遺体が埋葬されている。
その大地の上に、南部連合の記念碑や石像が建てられていき、自分たちの大切な遺産さえも奪っていくと語る。

歴史や人種差別問題、人種を超えた友情、巨大企業vs中小企業など、見ごたえある作品になっている。お金より正義というオキーフ氏(夫妻)の考えも良い。
わかりやすい勧善懲悪な裁判で、5億ドルの賠償金を勝ち取るという派手さ。それが、実際にあった出来事だというのが面白い。

映画を観終えて、大好きな漫画「3月のライオン」の最新刊の一コマを思い出していた。
「売る方も買う方も双方が笑顔!それが「いい商い」だ。逆に、どっちか片っぽだけが笑顔ってぇのが“わるい商い”。そーゆうヤツは続かねぇ。」